バン 08.08.05




2度目の繁殖



 先々週の“自然のページ”で、親離(おやばな)れをした若いバンの様子をお伝えしましたが、その親鳥たちが今年2度目の繁殖(はんしょく)を始めました。多くの野鳥たちは、梅雨が明けるまでに子育てをすませますが、バンは8月頃(ころ)まで、年に1〜2回繁殖する習性があるそうです。

 これまで親鳥たちは、お互(たが)い無関心を装うように、一定の距離(きょり)を保ち行動していましたが、このところオスがメスを追いかけて泳ぐ姿をたびたび見かけるようになりました。メスを追うオスの後ろ姿は、お尻の白い羽が大きく開き、興奮(こうふん)している様子がよくわかります。そして、メスに追いつくと「カブリ!」、知らない人が見ると「いじめられてる!」と勘違(かんちが)いしてしまいそうなほど手荒(てあら)な愛情表現です。この行動を1日に何度か繰(く)り返すうちに、メスの頭からは羽が抜(ぬ)けてしまいました

 7月下旬(げじゅん)のある日、いつものように追いかけっこが始まると、これまで逃げてばかりいたメスがすかさず浅瀬(あさせ)に向かいました。次に、頭が水面につくほどうなだれて低い体勢にかまえると、オスがすぐさま背中に上がり交尾を行いました。そして、今では岸に生えるガマの根元に巣ごもり、オスメスが交代しながら卵を温めています。

 このまま順調にいけば、今月中にはヒナの姿が見られるはずです。後日、みなさんにうれしい報告ができることを願いながら、観察を続けていこうと思います。

文責 増田 克也



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