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伊勢参宮道中日記

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伊勢参宮道中日記

寺社参詣の旅(日本全国規模の旅)

1845(弘化2)年、庄内町(現在の新潟県村上市庄内町)在住の源右衛門なる人物が伊勢参宮の旅をしている。道中連れは最年長の源助62歳を頭に最年少21歳の梅太郎までの6人である。彼はその詳細を伊勢参宮道中日記に記している。それによれば、出発したのは旧暦の1月26日(新暦の2月下旬)である。雪解けには少し早い季節である。途中まで多くの人が同行し宴会をしてからの出発となる。

一行は長野の善光寺(2月6日)に詣で、名古屋(2月13日)を経て伊勢神宮(2月17日)に参拝する。更に足を延ばし、奈良(2月20日)、高野山(2月26日)、大坂(2月28日)を経て3月4日に四国の金比羅様に詣でている。新潟に帰ってくるのは4月2日のことである。移動距離は約1900q、64日間に及ぶ大旅行である。1日に30q近い距離を移動したことになる。

この旅で一行は兵庫県内を往復している。行きは2月29日である。大坂から海路室津に至り、赤穂城下を経て岡山へ向かっている。帰りは3月7日で山陽道を歩いて通過、3月10日に大坂へ到着している。この帰り道中では県内の山陽道に沿った名所旧跡を見物している。日記に記されている名所旧跡は円教寺、曽根天満宮、石宝殿にはじまり舞子浜、楠公御塔、布引滝、西宮大神宮など24ヶ所余りにのぼる。特に松めぐりをしているようで、当時から松の名所として知られていたようである。

彼の残した道中日記は所々に手描きの挿絵があって、『旅行用心集』の日記の書き方の注意に忠実であることがよく分かる。

伊勢参宮道中記