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館長室へようこそ!

兵庫県立歴史博物館
館長 端 信行
【プロフィール】
 私は2002年から、兵庫県立歴史博物館で館長をつとめています。
 大阪府に生まれました。専門は文化人類学と比較文明論です。京都大学文学部を経て、1974年に国立民族学博物館助教授となり、1992年からは同館の教授を、2001〜2007年には、京都橘大学で教授をつとめました。
 
 ※端館長は2014年3月末日に退任し、現在は名誉館長です。このページは過去ページを表示しています。
【「館長室へようこそ」について】
 「館長室へようこそ」では、歴史博物館に関する話題や、兵庫県の歴史・文化のニュース、私が折に触れて感じたことなどを、皆さんにお伝えしたいと思っています。「歴史ステーション」にお越しになった時に、気楽に立ち寄って、おくつろぎ下さい。  みなさんのお便りなども、お待ちしています。
あて先 : Rekishihakubutsu@pref.hyogo.lg.jp
 

  災害列島の多難な夏に 2012年7月15日

 この原稿を書いている13日は、昨日から引き続き、九州地方の大雨災害のニュースが朝からひっきりなしにテレビで流されている。1時間に100ミリを超すという昨日来の大雨を、メディアは「経験したことのない豪雨」と表現している。山崩れや土石流が人家を埋め、突然の鉄砲水が堤防をあふれ出し、街区を孤立させる。何とも傷ましく、昨年の大震災や大津波災害のダメージ症候群からなかなか抜け出せない。

 日本の河川は昔から鉄砲水が特徴で、それゆえに堤防構築をはじめ土木は国づくり地域づくりの礎であった。信玄堤からコンクリートに替わっても、その精神はおなじであるはずであるが、いまもってこうした災害が多発するのは、地球の気候変化の方が人の営みを超えて進行しているのであろうか。「想定外」とか「経験したことのない豪雨」が多用されるのは、人の営みの評価を避けているように思えて仕方がない。

 

 くわえてこの夏もまた‘節電の季節’である。兵庫県では、博物館や美術館を「クール・スポット」に指定し入場料を半額にし、節電の夏には自宅にこもらず、家族で「クール・スポット」で過ごし、各家庭の節電の効果を上げようという運動をはじめた。当館ももちろん「クール・スポット」である。そしてこの夏は『江戸時代のペーパークラフト』の展覧会だ。印刷された絵を切り抜いて組み上げると、有名な建物やお芝居の名場面などがたちまちできあがるしかけだ。材料は紙だけだから本当に省エネだ。この夏は「クール・スポットれきはく」で、環境に優しい組み上げ絵づくりに親子で熱中してはいかが。

   
 
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