KOBE High School Super Sciense Program, Hyogo Prefecture

県立神戸高等学校 総合理学科

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県立神戸高等学校

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※ 総合理学科は,「普通科総合理学コース」が発展した新しい学科です。

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平成19年度 サイエンスツアーⅠ「情報通信研究機構 未来ICT研究センター」

活動の目的と方法

写真:説明を受ける総合理学科の生徒
説明を受ける総合理学科の生徒

 サイエンスツアーとは「先端科学の現状や研究の様子を体験的に学びながら,科学や科学技術に対する関心と理解を深めること」をねらいとする,総合理学科の活動です。

具体的には,以下の点を考慮して学習内容を決定して実施します。

  • 研究施設において長時間の体験学習を行う。そのために,サイエンスツアーは土曜日や長期休業日を利用して行う。
  • 体験学習の内容は,将来の進路目標の一つである「理系の研究者」という職業の専門性を念頭においた上で,研究や科学技術に対する理解を深めるものにする。
  • 体験学習は研究施設の設備を使い,少人数のグループに分かれて実習や実験を行う。
  • 実際に最先端の施設や設備の稼動の様子や,どのような研究がどのように進んでいるかといった先端科学の現状や研究の様子を理解するための時間を設ける。

 平成19年度のサイエンスツアーⅠは,「情報通信研究機構 未来ICT研究センター」にて6分野の実習項目を準備していただいて,上記のねらいの実現をめざしました。


「サイエンスツアーⅠの実習項目(6分野)の内容

コース1 「生きている細胞を蛍光でみる:染色体のダイナミクス」

概要:細胞の中で起こっていることをあるがままに見たいというテーマで講義と実習。蛍光タンパク質,遺伝子組み換え等の内容を含む講義の後,実習ではあらかじめ作製した光るヒト細胞を用いて,生きている細胞で蛍光タンパク質が動く様子を蛍光顕微鏡で観察する。担当:生物情報プロジェクト

コース2 「光学顕微鏡で探るタンパク質の世界:動くタンパク質を見てみよう」

概要:最新鋭の光学顕微鏡を使って生きている細胞の中を覗き,驚くようなスピードで動く細胞質や細胞小器官を観察。光学顕微鏡を使った実習を通して,細胞質の運動の仕組み・細胞内の活発な運動を司っているタンパク質モータの働きを理解し,生命の本質「動き」を体感する。担当:生体物性プロジェクト

コース3 「脳の活動を測定してみよう:視覚のしくみ」

概要:現在の脳科学では,人間の脳を外側から測定して,はたらいている脳の様子を観察することができるようになった。ものを見ているとき(視覚)の脳の活動を,MEG(脳磁波測定装置)とMRI(磁気共鳴画像装置)を用いて測定し,脳が活動することと心の中で感じることとの関係を考察する。担当:脳情報プロジェクト

コース4 「光を操るナノワールドへの誘い」

概要:ミラーを調整して自分でレーザーを発振させる。偏光や干渉などの光の性質を実感する。人工オパール(光学結晶)を作ってナノ構造を観察する。オパールが虹色に光る訳,モルフォ蝶やコガネムシが光る訳を理解し,自然が生み出す感動的なナノテクアートと接する。担当:分子フォトニックプロジェクト

コース5 「光の波長と速度を体験しよう」

概要:光の色が何なのかを分光光度計を用いて光の波長から体感し,半導体レーザーのスペクトルを観測することによって,光の波長について学ぶ。次に,光ファイバーを用いて光の速度を実際に測定する。これらの結果から光が電波より情報がたくさん送れるのは何故かを考察する。担当:光波量子・ミリ波ICTグループ

コース6 「作って測る,不思議な超伝導の世界へようこそ」

写真:クリーンルーム内の生徒
クリーンルーム内の生徒

概要:クリーンルームにおいて,超高真空装置による超伝導薄膜の作製やフォトリソグラフィによるミクロンオーダーの微細加工などを行う。実際に操作し,電気特性の測定によって超伝導の不思議な現象の一部を体験する。担当:超伝導プロジェクト


結果と生徒の感想

写真:実習を行なう生徒
実習を行なう生徒

 施設を十分に使用させていただいて,多くの研究者に協力をしていただいた結果,生徒は広範な分野について,少人数グループでの体験学習ができました。先端研究に触れた生徒たちの感想の一部を紹介します。

「学校では絶対に習わないような深いことまで知れて,とてもよかったです。」

「すごく専門的で,予備知識がないとついていけない話ばかりだった。生体物性に興味の割合が大きいかなあと思う(体験した他分野と比較)。」

「新たな世界が広がった気がする。理科のおもしろさをあらためて実感した1日だった。」

「前の理研見学のときに覚えた言葉が出てきて,一層深い知識となった。理科の講習や実習を重ねて,知識が身についているんだなと実感,感動した。6コースも用意していただき,充実していた。」

写真:解析画面を見る生徒
実験の解析画面を見る生徒

 また,生徒のレポートの記述から,次の効果があったと考えられます。

  • 科学に対する見方が広がり,研究や研究のための施設・設備に関する理解と強い印象をもつことができた。
  • この体験学習が,学校での今後の学習に対する動機付けになった。
  • 生徒が事前に実習するコースを決定する際には,コースに関する資料(研究者のWebサイトを含む)を示していただいており,生徒が個々のペースで事前学習を行うことができた。その結果,当日の実習だけでは得られない理解の深まりがあったと予想される。

2008年1月 公開

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