一鉄の苦痛の1日〜転校生・橘 飛鳥〜

 

転校生・橘 飛鳥の『委員長になります』宣言を聞いて一瞬固まった一鉄と皐月だが先に回復したのは皐月の方だった。

「な、何いってんのよ!委員長はね、委員長はね木之宮だってもう決まってんだから!!」

実は皐月と木之宮は副委員長と委員長という役職についており、一鉄を呼びに来たのもその為だった。1学期からこんなクソめんどくさいことを半ば強制的にやらされやっと3学期なのになり解放されると思った矢先の『委員長になります』宣言だった。

ここまでやらさせといて最後のとっても楽な3学期だけかっぱられるのはどうしても許せそうになかったのである。

「このふちゃらけ度を見てもそんなことが言えるんですか!?こんな状況で委員長の名を名乗っていいんですか!?いい訳ないでしょう!! 」

「はぁ!?何言ってんのよ!!そんなもんどーでもいいのよ!!!

びしぃっと橘に指さすと敵意むき出しの目で睨み付けた。皐月の中で転校生・橘は急降下でワースト10まで下がっていった。

 

「私が言いたいのはね、そんなことじゃーないのよ!!私の相手があんたじゃ役不足なんだってことを言ってんのよ!!」

 

え?

 

「16にしてこのナイスボディーを持ち、しかもこんなに可憐な私・皐月 弥生の相手には役不足だって言ってんのよ!!!」

 

「自画自賛……この人もダメだ」

橘の深いため息が部屋を埋め尽くした。

 

「な、なによコイツ!!むかつく!!私のどこがダメだって言うのよ、え?」

皐月は確かにヒップに対して腰回りは細い、しかし胸はたじろくほどに大きかった。とどめのつまりボンキュボンな身体つきをしていたのだ。

それに皐月は大人の魅力というより子供の愛らしさのほうが全体的に断然多く占めており、まぁ、自分で言うのはどうかと思うが、可憐と言えば可憐だった。

 

 

これは余談ではあるが皐月は高校に入るまで『この世の男は私を愛さずにはいられない』そう考えていたのだ。

だが、高校に入ってから彼女は自分の魅力(色気)だけでは太刀打ちできない男にあってしまった。それが学級委員長である・木之宮 カイである。

彼は高校生にはめずらしくまだおもちゃに卒業できてない男なのである。日や手のひらサイズのおもちゃで世界征服をたくらんでいる。そうボ○ボ○コ○コ○などででてきそうなストーリーであり、主人公のライバルぽい性格の持ち主なのである。

一言いって置くが木之宮 カイはマニアックな人間ではなく、そう言うキャラを演じてるわけでもなく、それが素なのだ。

 

そして世界征服の話もおふざけとかではなく本気なのである。

先日も手のひらサイズのおもちゃで校舎を破壊していたので加山と一鉄が慌てて止めに入った(慌ててたのは一鉄の方だけだったが……)っと言う事件を引き起こしたと言うマジっぷり。

 

 

「…………我慢さんこれでは話が進まないわ。」

「ともかく、僕は委員長です!!」

なにはともあれ話を進めたいので花ちゃんを登場させたけどやっぱり世の中そう上手くいくわけがなくて……

「だーかーらー、あんたじゃ役不足ってのがわかんのかな〜?」

「そういう個人的な感情で仕事をしてるってのがいけないっていうのがまだ解らないんですか!!」

「あ〜ん?何言ってんのよ、自分の人生よ!悔いなく生きるのが私のモットーよ!!」

あーーもうぉ!分かんない人ですね!!」

またまた橘と皐月の喧嘩が始まり出した。

 

はーっははは、喧嘩するほどなんとやら、若いもんは仲良くなるのが早いなぁ〜」

どうしてこう毎回登場するのか、今回もまた加山先生の登場!!もちろん彼の入り口は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

窓ーーー!!

 

 

「あ、加山さん」

「げっ、体育科」

「……………………フン」

「あら、久しぶりね」

皆さんもう慣れたのか窓入り加山を物ともせず何事もなかったようにあいさつする。

上から一鉄、皐月、木之宮、花ちゃんっといった順だ。

この中で加山窓入りの免疫がなかったのは………

 

「な、なんですか!これは!!」

まだまだ青い橘だった。

 

「ん?何だ何だ?休み前に一度あったじゃないか?ん?もう忘れたのか?」

 

 

いや、あの時は普通だった、いたってノーマルだった<いやいや保護者の前でそんなことしてたらこの学校生徒来ないから

「僕はあなたを認めませんよ、あなたは教師じゃない!変態だ!!!

「いや〜ん、加山泣いちゃうv」

 

ピシッ

 

一瞬皆さんが固まってしまったけれどやっぱりそんなこと気にしてられなくて

 

「………ともかくSTはどうするんだ?」

唯一まともな委員長木之宮が冷静に言った。(外見は異常としかいえない格好だが)

「あー、そうよこんなバカのために来たんじゃないのよ!ほら先生早く早く!!」

ぐいぐい一鉄の腕を引っ張る皐月。

「はーはっはっは、モテモテだな〜♪」

「え、え、そんなこと……っつーか加山さんここにくるぐらいならSTやってて下さいよ(泣)」

「だからこうして来てやっただろ」

「え?ここに来ちゃ意味ないッスよ」

 

 

HEY、カモーンv

 

 

 

え?

 

 

 

シュルシュル、ズガッ

 

 

 

 

え?

 

 

 

加山のかけ声に出てきたのはうん年前のヨーヨーだった。

何か思い当たるところがあるのかいっせいに振り返る一鉄、皐月、木之宮

 

「雪之丞様」

「姐さーん」

注目されて出てきたのは膝あたりまであるロングスカートをはいたいてかにもスケバンといった格好の女子生徒だった。<何年前の話だ?

そしてその女子を取り巻き声援を送るのは子分A&B

 

「あんた、あたしを待たせるなんていい度胸してんね」

もう瞳の色は殺気むんむん

「覚悟はいいかい?」

えせスケバンはゆっくり立ち上がりメンチをきった。

「二ノ宮君、お、落ち着いて」

「あんた、男だろ睨み返すくらいの度胸はないのかい?」

二ノ宮はあきれてしまって戦闘不能になってしまった。

 

「姐さん、こんなヤツほっときましょうよ」

「そうですよ、うちらが来たのは今度うちに来るっていう新顔に誰が番張ってるか解らすためじゃないッスか!!」

そんな時代錯誤のことを言っているのは子分A&B<注意>この世界も2002年です。80年代ではありません。

「えーっと、つまり転校生を見に来たのかな?」

なんでそうなるのか一鉄はのんきにそんなことを言っていた。

「仲良きことは良いことだ!」

のんきなのは一鉄だけでなく加山もそうだった。どこから出したのかセンスなんて持ち出して気分はもうお殿様v

 

「で、その新顔ってのはどいつだい?」

そんなこと言わなくても周りにいるのはクラスメートか学校の先生かいつも学校をいる少女しかいないので解ろうと思えばすぐに解るはずなんだが……。

そんの辺はびびらすって言う要素もかねているので二ノ宮はそう言った。だが、このメンツでは、いや、この転校生・橘の場合そんな脅しは通用しなかった。

「あなた馬鹿ですか」

 

 

ピシ

 

 

またまた固まってしまった皆様方

 

「私以外に誰が転校してきたと思うんですか!?」

何も知らない橘は平気でそんなことを言ってのけた。

否が応でもピリピリした雰囲気が流れてくる。

「あ〜あ〜!!橘くん?二ノ宮さん?自己紹介がまだだったんじゃないのかな?」

ここはやっぱり担任である我慢一鉄が間に入らねばならないだろう。

ね?ね?っとなごませて自己紹介をさせようとしているのだがこううまくいってしまえばこのお話全然おもしろくないので

 

「レディー……ファイット

 

どこからともなく聞こえる声、そうその声はまさしく加山雄次

 

「か、加山さん?何やってるんですか?教師がしかも校内で生徒同士を喧嘩にけしかてるなんて、謹慎処分ごときじゃすみませんよ!!」

 

「我慢!!俺はお前を見損なったぞ!!!!男はなぶつかり合ってこそ分かち合えるんだ!!」

「い、いや二ノ宮さんは女の子であって」

一鉄が訂正しようとすると横からキッと睨む視線を感じた。

「あんた、今、あたしを馬鹿にしたね」

橘に向けられてた殺気が急に一鉄に向いた。

 

「あたしはね、女だからとか女の癖にとかそう言う言葉が大っ嫌いなんだよ。

あんた、あたしがこのひょろひょろ坊やに負けるとでも思ってるのかい?」

「え……そんなこと」

「ふふふ二ノ宮よ、弱いものいじめはスケバンはせんぞ」

スケバン、二ノ宮はその言葉には弱かった。

「っう、きたねーぞ」

「ふふふ、仲良きことは良いことだ」

睨む二ノ宮もものともせず、加山は相変わらずお殿様気分だった。

 

「あ〜〜〜!!もういつになったら教室に行けるのよ!!」

業を煮やして皐月が叫びだした。

皆さん忘れてるかもしれませんが今日は1月8日。授業はまだないが大掃除というやっかいな作業をしなければならないのだ。このままでは大掃除は放課後残らなければならないのだ。

「もうどうでもいいから教室に戻ろぉーよ!」

こうつっ立ってるだけでもミニスカの皐月にとっては寒く辛いものだった。

「あなた、今なんと言いましたか?」

変なところで橘の邪魔が入り驚く皐月。

「何が言いたいのよ?」

もう不機嫌MAXの皐月。怒りマークは五個ぐらい?

「どうでもいい、確かに今そう言いましたよね?………だったら私の委員長になります宣言を授与するべきです!

はぁ?何言ってんのよ!!その話はさっき決着がついたでしょ!!」

「何言ってるんですか、あなたは確かにそう言ったはずです!

 

「ん〜〜〜もう分かったわよ!私が言いました!そう言いました!!でもねこの世界早い者勝ちってのがあるのよね。だ・か・ら木之宮が委員長なの★

「ふざけてるんですか★」

ふふふと両者目が笑ってない微笑みをしながら一歩も引かない。

 

「……………俺は構わない」

皐月の右から声がすると思ったら委員長である木之宮がやっと口を出してきた。

「きーのーみーやー!!あんたやっと口を開いたらなんでそんな余計なことを……」

皐月はもう顔面騒然

「俺はベイブレードがやれればそれでいい」

ベイブレードというのは木之宮が今回世界制覇を狙っている手のひらサイズのおもちゃである。

「え?そ、それは………まずいッスよ、加山さん、どうしましょう

一鉄は加山に近づくいてひそひそ声で話し始めた。

実は木之宮が委員長なのは密かにこの一鉄と加山2人の密かな対策なのである。

上の方で話したが木之宮は学校の校舎を壊したという履歴がある。

だからこうして学校の仕事に明け暮れていれば壊す時間などないだろうと考え実行した。

どうしましょう、このままだとまた何か壊しちゃいますよ

?ダメなのか、俺は個性だと思うぞ?

ううーん、個性云々は置いておいて、このままだと委員長が2人になってします。それはやっぱりまずいですよ

?そうか?よし任せろ!!

 

「橘、俺はいいことを考えたぞ!これでみんな万事解決だ☆

よーーーっく聞け!この加山大先生の提案を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前は今日から委員長(仮)だーー!!

 

もうイヤだ。一鉄は心の中からそう思いましたとさ。


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