ヤマナメクジ 07.09.18




巨大ナメクジ出現!



 キャンプ場に続く小径を、ナメクジが悠然とはっていきます。通りかかった人間たちは誰もが思わず立ち止まり、その大きさに目を見張ります。それもそのはず、このナメクジは日本で最大になる“ヤマナメクジ”で大きなものは20センチにもなるそうです。
 じんわりじわり、音もなくヤマナメクジが我が物顔で小径を横断していきます。それではその「我が物顔」を見てやろうと、前に回り込み頭を地面に近づけてのぞき込むと、意外に愛嬌のある顔をしています。「だれだだれだ、俺の前に立ちふさがるやつは!」と言わんばかりに、触角をピンとこちらに伸ばし私を威嚇しているようにも見えます。

 このところ朝夕は幾分涼しくなったためか、ヤマナメクジをよく目にします。こちらは、キャンプ場のテントサイトに現れたヤマナメクジです。先ほどからしばらく見ていますがピッタリ岩に張り付き、頭部以外はほとんど動きません。どうやらこのヤマナメクジは岩に付いたコケを食べているようです。それではお食事中にちょっと失礼して、頭部の先端を横から見てみると、口らしき3つの肉球を外側から内側にモソモソ動かし器用にコケをこそぎとって食べていました。
 ヤマナメクジはコケの他にキノコ類も好物らしく、栽培されているシイタケなどに被害をもたらすこともあるようです。

 間近で食事光景を見ていると、ヤマナメクジの右側面に穴が空いていることに気づきました。不思議なことにいつも空いているわけではなく、時折、思い出したようにポッカリ開いたかと思うと、跡形もなく閉じてしまいます。これは別個体ですが、このヤマナメクジにも穴が見て取れます。
 早速、調べてみると、どうやらこの穴は呼吸をするための器官であることがわかりました。ヤマナメクジは肺呼吸をする陸に棲む貝の仲間だということを改めて認識させられました。口を岩などにピッタリとくっつけて餌を採るヤマナメクジは、口で呼吸するより身体の側面から空気を取り入れる方が有利なのでしょう。

 このヤマナメクジを「気持ち悪い」と感じるか「素晴らしい」と感じるかは個人によってまちまちで、中には生理的に受け付けない方もいらっしゃるはずです。しかし、「不思議な生き物」であることは誰もが認めるところでしょう。
 私はもう少しヤマナメクジのことを知りたいと思えるようになりました。また機会があれば、再会を願い、彼らが通った跡に残る“銀色の道”をたどってみたいと思います。

文責 増田 克也

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