ニュートンのリンゴ  06.07.18
秋が待ち遠しい



 南但馬自然学校には、小さな果樹園があります。ウメ、モモ、カキ、グミ、イチジク、リンゴ、ナツメなどいろんな実のなる木が植えられています。ウメとグミの実はもう終わってしまいましたが、その他のものは、ちょうど今、青い実を付けていたり、花を咲かせていたりします。それでは、果樹園の様子をみてみましょう。

 まずは、この写真です。これはイチジクですね。ぷくっとしたコブのような、かわいい実を付けていますがまだまだ青く、大きさは大人の親指くらいです。実の先が星形に割れて、全体がほんのり赤紫に色づいてきたら食べ頃です。イチジクはハチや野鳥たちにも大人気なので、うっかりしているとみんな食べられてしまいます。

 次はこの写真を見てください。この実もまだ青いですが、小学校1年生のにぎりこぶしくらいに大きくなっています。この実はカキで、種類は富有柿です。南但馬自然学校には甘柿と渋柿がありますが、この果樹園のカキは同じ木でも、甘い実と渋い実があって、食べるときにはちょっとしたスリルが味わえます。

 今度は木の写真から見てください。これはナツメの木で、果樹園の西側に数本植わっています。まだこの木には実はなく、今がちょうど花盛り。5枚の花びらが愛らしく、直径は4oのとっても小さな花ですが、辺りにあま〜い香りを放っています。この香りの誘惑に虫たちが集まってきます。アリはこの花の常連さんです。足を大きく広げバランスをとりながら蜜を集めています。アリと比べると、この花がいかに小さいかよくわかりますね。秋には大人の親指ほどの細長い実を付けます。食べるとサクッとした歯触りとリンゴのような風味がたまりません。

 さて、こちらは正真正銘のリンゴの木です。4月の終わりに白い花を咲かせ、一月後には小さなリンゴの実が現れます。今ではずいぶん成長して、テニスボールくらいの実を付けています。
 こうやって見ていると、何の変哲もない普通のリンゴに見えますが、南但馬自然学校のリンゴはそんじょそこらのリンゴとは訳が違います。なんとこれは“ニュートンのリンゴ”なんです。

 “ニュートン”って知ってますか? そうです、有名な科学者ですね。ニュートンはリンゴの実が枝から落ちるのを見て「万有引力の法則」を発見しました。ニュートンはイギリスに生まれ、その生家には「万有引力の法則」を発見した当時のリンゴの子孫が今でも残っています。この接ぎ木苗が1964年日本に贈られ、東京大学大学院理学系研究科附属植物園で栽培されています。
 その植物園のリンゴの接ぎ木苗を、
南但馬自然学校の森本校長が分けてもらい、1999年4月26日、自然学校で本校を訪れていた子どもたちに接ぎ木をしてもらいました。その後、2002年の春に初めて花が咲き実がつきました。それからは毎年実を付けますが、残念なことに実が大きくならないうちに落ちてしまったり、野鳥たちに食べられたりして、まだ誰も口にしていません。このリンゴは食用には向かず、あまりおいしくないと聞いていますが、ニュートンも食べたかもしれないリンゴを味わえるなんて、とっても素敵なことですね。少し色づき始めたリンゴの実を何度も何度も見上げ「今年こそはかじってみよう!」と胸をはずませている私です。あ〜秋が待ち遠しい・・・
 
文責 増田 克也
 
 
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