オオイヌノフグリ 08.03.18




目にしみる青空



 いい天気になりそうな霧がたちこめた朝、まだ少し雪が残る薄暗い山裾(やますそ)にさしかかると、黄色い頭のミヤマホオジロが藪(やぶ)からひょっこり出てきました。近くにメスの姿も見えます。暖かくなると北へ旅立つ彼らと別れを惜しんでいる間にすっかり夜が明け、ふと見上げると目にしみるような青空にマンサクの黄色い花が映えています。まだ雪が残る南但馬自然学校にもようやく春が訪れたようです。今年の冬は、幾日も鉛色の雲に覆(おお)われていただけに、このところの青空は、頭の上にのしかかっていた重しがとれたように晴れやかな気分です。

 田んぼの畦(あぜ)には、オオイヌノフグリが小さなルリ色の花を咲かせています。「花が小さい分は数で勝負」と、辺り一面に咲かせた花もほほえましいものですが、ひとつひとつの花をルーペで拡大して観るのもいいですよ。
 その観察法は、まず、太陽を自分の正面に見て逆光線が花に当たるポジションをとります。次に思い切って地面に腹這い(はらばい)になりルーペをのぞき込むと、ほらどうですか。見過ごしてしまいそうなほど小さなオオイヌノフグリでも、柔らかな春の陽に透けた花びらのグラデーションも美しい、どうして立派な野花じゃないですか。みなさんもルーペ片手に是非、試してみてください。

 地面に這いつくばったまま上目遣い(うわめづかい)に見上げると、オオイヌノフグリの花に負けないくらいの青空にはアトリの群れが何度も飛び交います。地面が雪で閉ざされた冬には川に餌を求めていたアトリたちも、帰郷を前に大きな群れになっています。アトリの群れが飛び去ると、久しぶりに見るハイタカが滑るように南の空を滑空していきました。

文責 増田 克也

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