ノスリ 07.01.16





頼りない猛禽類?



 今年の冬はノスリがやって来ました。ノスリは冬の渡り鳥ですが、南但馬自然学校周辺では毎年見られる野鳥ではありません。去年の冬は見かけませんでしたから、2年ぶりの再会です。

 ノスリは動物を襲って食べる、ワシやタカと同じ猛禽類の仲間です。猛禽類はその精悍な表情が、強さや勇ましさを想像させることから、魅力を感じる人は少なくありません。ところがこのノスリは、他のものに比べると優しく穏やかな顔つきで、一風変わった猛禽類です。
 大きさはカラスくらいで、身体の色は
トビに似ていますが、ノスリの方が白っぽく、お腹や羽の内側はクリーム色なので飛ぶ姿を見れば間違えることはないでしょう。 
 エサは昆虫やモグラなどの小動物を捕らえて食べています。その他に小鳥も捕らえますがごく希なことで、小鳥たちもそのことをよく知っていて、ノスリが近くに来ても平然としています。これが他のタカならば大パニックになるところです。

 今日もノスリが高い木や電柱から、下の田畑を見回し獲物を探しています。普段は優しい表情のノスリも、獲物を探すこの時ばかりは、猛禽類の鋭い眼光を放ちます。見晴らしがきく適当な場所がない場合には、小刻みに羽ばたき、尾羽で舵を取りながらホバリング(空中停止)をして獲物を探します。このホバリングはノスリの得意技で、時折、披露してくれます。風を自在に操り宙に浮かぶその姿は、糸をピンと張った奴凧のようです。
 ホバリングをしていたノスリが、2度、3度、身体を左右に傾けたかと思うと、一気に急降下しました。下りた先を双眼鏡で確かめてみると、見事に大きなミミズを捕らえています。「さすが猛禽類!」と言いたいところですが、その後、獲物の横取りを狙うカラスに追い回される始末・・・猛禽類と言えどこの有様です。でも、「だいじょうぶ・・・?」と思わず声をかけたくなるこの頼りなさがノスリの魅力なのでしょうね。

文責 増田 克也
 
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