ノビタキ 07.10.02




旅人来る



 北国を出発して南国へと移動する、「旅鳥(たびどり)」と呼ばれる小鳥たちを朝来山山頂付近で見かけるようになりました。お気に入りの梢などで餌を捕ったり羽を休めたりしながら、幾日か滞在すると再び越冬地の南国を目指して旅立っていきます。
 今週の「自然のページ」は長旅の途中に立ち寄った旅鳥をご紹介しましょう。

 先ほどから山頂近くのスギの梢で飛んでくる虫を狙って待機しているのは、“ノビタキ”です。ノビタキは田んぼや河原のような開けた場所を好みますが、今年はまだ平地では見かけません。このノビタキは何度か虫を捕った後、意を決したのか落ちるように下界に向かって飛び出していきました。里の田んぼや畑で彼らの姿を見られるのはもうすぐのようですね。

 ノビタキが餌捕りをしていた遥か彼方に、枯れ木の梢でうごめくものがいます。それは、木のてっぺんから飛び出し、虫を捕らえては再び同じ場所に戻る、“フライングキャッチ”と呼ばれる、ノビタキとよく似た行動を繰り返していますが、身体の色がグレーっぽい小鳥でノビタキではなさそうです。双眼鏡で確認してみると、どうやら胸の縦縞模様が特徴の“エゾビタキ”のようです。このエゾビタキもノビタキと同様、北国から南国を目指す旅鳥です。ここでは、数羽の旅鳥が同時に2種類も見られました。山頂付近はさしずめ「旅鳥銀座」と言ったところでしょうか。

 ふもとでは、こちらも長距離の旅をすることで知られる蝶、“アサギマダラ”がオタカラコウの蜜を求めていました。今年は小鳥たちの好物、“クマノミズキの果実”も豊作です。野鳥も蝶もじっくり鋭気を養いこれからの長旅に備えてほしいものです。
文責 増田 克也

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