ニホンアナグマ 07.05.01





クマ、それともタヌキ?



 南但馬自然学校の朝来山には、ニホンアナグマが棲んでいます。時折、生活棟辺りまで下りてきては、山裾をゴソゴソと嗅ぎまわっています。人の接近に気がついてもそれほど慌てる様子もなく、ゆっくり頭をふり上げ、しばらくこちらと目を合わせると・・・「クルリッ」お尻を向けて山へ戻っていきます。何度見てもそのユーモラスな仕草には思わずほほえんでしまいます。

 この体験を子どもたちに「あのなぁ、アナグマはおもしろいんや・・・」と話し始めると、「えっ、南但馬自然学校にクマがおるん!?」どうやらツキノワグマと勘違いしたようです。ニホンアナグマは名前に「クマ」という文字がありますが、クマの仲間ではありません。上の写真でもわかるように、姿や大きさはタヌキによく似ています。では、タヌキの仲間かというと、これまた違います。分類上ではタヌキはイヌ科、そしてニホンアナグマは意外なことにイタチ科です。
 顔をよく見ると、耳はタヌキよりずいぶん小さく、代わりに鼻は大きいことがわかります。それに前脚が太く鋭い爪があり、この爪で上手に穴を掘ることができます。アナ(穴)グマの名前は伊達ではありませんね。
 もうひとつ名前のことで付け加えると、南但馬自然学校がある朝来市山東町では、このニホンアナグマのことを“ムジナ”と呼んでいます。ところがこれとは逆に、タヌキをムジナと呼ぶ地方もあり、いろいろな土地の方とお話ししていると、タヌキのことかアナグマのことかわからなくなってしまうことさえあります。

 先日、ニホンアナグマを撮影するチャンスに恵まれました。私とニホンアナグマの、目と目が合ったところでシャッターを切ることができました。出会いはわずか十数秒でしたが、後で写真を見返すといろいろなことが読み取れましたので紹介します。それでは、上の写真にある指のアイコンをクリックしてみてください。
 
文責 増田 克也


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