モリアオガエル 08.06.03






モリアオガエルの産卵始まる


 南但馬自然学校の山沿いにある池で、モリアオガエルの産卵が始まりました。今年、初めてソフトボールほどの白い卵の塊(かたまり)を見つけたのは、5月21日のことでした。その後日に日に増え続け、今では50個以上にもなっています。この白い塊のことを、卵塊(らんかい)と呼び、卵を保護する役目を持っています。そしてこの卵塊の中に産み付けられる小さな黄色い粒が卵です。

 ある日、池に立ち寄ると、喉(のど)の奥を小刻みに震(ふる)わせ絞(しぼ)り出すようなカエルの声が聞こえてきます。これはモリアオガエルが産卵の時に出す独特な声です。辺りを探すと・・・いましたいました。白い泡(あわ)をたくさん出して産卵をしている最中のモリアオガエルたちを見つけました。
 いったい何匹いるのでしょう。数えると8匹はいるようです。モリアオガエルの産卵は1匹のメスと複数のオスによって行われることが多いですが、これだけたくさん集まると、オスより一回り体の大きなメスでもどこにいるのかわかりません。

 こちらでは、大きなお腹のメスと、その背中に負ぶさったオスのペアが産卵場所を探しています。このペアはしばらくの間、静かに枝先を見つめていましたが、決心したかのように勢いよくジャンプして跳(と)びついた先は、産卵しているカエルたちの隣(となり)でした。さあ、いよいよ2時間以上にもおよぶ長い産卵の始まりです。

 池に集まるのはモリアオガエルだけではありません。ここではいろいろなヘビにも出会えます。木の枝にヒモのように取り付いて、舌をV字に出しているのはヒバカリです。このヒバカリは小魚などを好んで食べるヘビで、これから孵化(ふか)するモリアオガエルのオタマジャクシにとっては、恐(おそ)ろしい天敵になります。
 池の畔(ほとり)に黒い体をくねらせているヤマカガシは、狙(ねら)った獲物(えもの)は逃(のが)さないカエルハンターです。さっそく大きなモリアオガエルが捕(と)らえられていました

 この池では、モリアオガエルの産卵は6月の中旬(ちゅうじゅん)にピークを迎(むか)え、7月頃まで続きます。産卵は夜に行われることがほとんどですが、運がよければ、昼間に見られることもあります。みなさんも近くに山沿いの池があれば、是非(ぜひ)、足を運んでみてください。神秘的なモリアオガエルの産卵シーンを、目(ま)の当たりにできるかも知れませんよ。

文責 増田 克也

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