モリアオガエル  06.06.20


生命のコーラス


 ジメジメ、ジトジト。人間にとっては不快な季節、梅雨がやってきました。でも、南但馬自然学校のカエルたちは元気いっぱいです。今回は木の枝などに白いメレンゲのような卵を産みつける、モリアオガエルの産卵の様子をのぞいてみましょう。
 
 上の写真を見てください。ここは南但馬自然学校のとある池です。この緑色をしたカエルが、モリアオガエルのオスです。みなさんがよく知っているアマガエルに似ていますが、体長は大きなメスでは8p以上もあり、アマガエルよりずっと大きなカエルです。手のひらに乗せるとその大きさがよくわかりますね。

 モリアオガエルの産卵は夜に行われることが多く、昼間のオスはほとんど動かずに、産卵をするメスが現れるのを木の上でじっと待っています。普段は出会うことが少ないモリアオガエルですが、産卵季の今、ここには木を揺らすと降ってくるほど多くのモリアオガエルが集まります。
 集まるのはカエルだけではありません。この絶好のチャンスをヘビたちが見逃すはずがなく、じっくり観察ができてしまうほど、多くのヘビたちに出会うことができます。体長150p以上はあると思われるアオダイショウ、木登り上手なシマヘビ、いつも同じ場所に陣取っているヤマカガシのペア、毒を持つことで知られるマムシと様々です。

 いよいよオスたちが首を長〜くして待った夜がやってきました。水面をよく見ると、お腹をパンパンにふくらませたメスが産卵場所を探して池からはい上がろうとしています。すると「待ってました」とばかりに1匹のオスがメスの背中に飛び乗ります。それを見ていたもう1匹のオスが割り込もうとしますが、最初におぶさったオスとメスは固く結ばれ離れません。これでめでたくカップルの誕生です。

 しかし、メスにとってこれからが大仕事です。オスをおんぶしたまま木によじ登り、産卵場所を探さなければなりません。この様子に気づいた他のオスが、自分も産卵に参加しようと近くからのぞいています。
 どうやらこのペアは、数日前に別のペアが産卵したヒサカキの枝先に産卵することにしたようです。ここでも下から2匹のオスが様子をうかがっています。

 さあ、ついに産卵が始まりました。真っ白なメレンゲのような泡に卵が産み付けられ、周りにしがみついたオスたちが、泡を足でかき回し受精を促します。上からも産卵に参加しようと、オスたちがにらみを利かせます。最終的に5匹のオスがこのペアの産卵に加わり、産み終えた頃にはすっかり真夜中になっていました。
 
 静まりかえった山の池に、モリアオガエルたちの生命のコーラスが始まると、森の木々が覆い被さり、別世界に迷い込んでしまったような錯覚にとらわれます。この感覚はその場に居合わせた者しかわかりませんが、みなさんも下のアイコンをクリックして、その雰囲気を感じてみてください。

文責 増田 克也

コーラス

低い声のモリアオガエルと、高い声で木琴のトレモロのような
シュレーゲルアオガエルがデュエットをしています。


 
このページのご意見ご感想をメールでお寄せください]
Email mtajimashizen@pref.hyogo.lg.jp