キンラン  06.05.16
金と銀のラン



 今年もキンランが咲きました。「今年も・・・」と言っても南但馬自然学校でキンランが見られるようになったのは、つい3年前からです。

 その昔、ガスや電気がまだない頃には、ご飯やお風呂の燃料の薪などを得るため、人々は山の手入れを欠かしませんでした。手の行き届いた明るい林には、キンランやスミレなどがきれいな花を咲かせていたのでしょう。
 ところが、薪に替わってガスや電気が使われるようになってからは、山は荒れてしまい、地面に光が届かないほど暗い林になってしまいました。このような林ではキンランを始め、他のいろんな生き物は暮らせません。キンランは山が荒れたことに加えて、きれいな姿をしているので持ち帰る人が多く、今では兵庫県のレッドデータブックに名前が載るまでに減ってしまいました。

 南但馬自然学校の生活棟の裏山は、人が入れないほどに木々が生い茂り、うっそうとした暗い林でした。そこで平成14年に、アセビ、ヒサカキ、ソヨゴといった照葉樹を切り、春には美しい花を咲かせるコバノミツバツツジウツギネジキなどを残す「除伐」という作業を行い、太陽の光が入るように山の手入れをしました
 するとどうでしょう。翌年の春には早速、効果が現れ「山をきれいにしてくれてありがとう」と言わんばかりに金色に輝くキンランが咲きました
 
 それ以降は、毎年少しずつ数を増やし、森のスポーツ広場周辺や散策道きつねコースでも見られるようになりました。今年はキャンプ場でも美しい花を咲かせ、加えてキンランのとなりには、ギンランまでも白い花をつけ、キャンプ場は“金銀、ランの共演”となりました。
 
 キャンプ場で歓声を上げる子どもたちを、傍らからひっそりと見守っているキンラン。子どもたちは、そんな金と銀のランに気づいているでしょうか?
 


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