イソヒヨドリ 07.05.08





大屋根のソリスト



 ここは、南但馬自然学校のシンボル的な建物、“大屋根広場”です。半屋外空間の大屋根広場は、自然の光や風を感じながら、キャンプファイヤークラフトなど多目的に利用ができるスペースで、南但馬自然学校のスタッフたちは、親しみを込めて「大屋根(おおやね)」と呼んでいます。

 大屋根の周りは、いつも子どもたちの元気な歓声が飛び交っていますが、最近、大屋根のてっぺんも大変にぎやかです。ふと見上げると、ヒヨドリくらいの野鳥が大きな口を開けてさえずっています。この野鳥は名前を“イソ(磯)ヒヨドリ”といいます。名前が示すように、以前から海辺ではよく見られた野鳥ですが、ここ10年ほどで、どんどん内陸部に住処を広げ、南但馬自然学校では3年前から見かけるようになりました。今年は春からほぼ毎日のように大屋根にやって来ては、下を通る人が思わず見上げるほどの美声を聞かせてくれます。

 イソヒヨドリのお気に入りは大屋根の一番高い場所、ステージの鬼瓦へ向かいます。そして今度は鬼瓦から掲揚柱へ、そこから煙突へと何度もステージを換え飛び渡ります。
 最後に降り立った煙突はイソヒヨドリのさえずりを鑑賞する最適な場所です。さあ、急いで大屋根の中にある火床に向かいましょう。ここにいるとイソヒヨドリのさえずりが、煙突の中を通って拡声されてとてもよく聞こえます。それでは煙突を伝って聞こえるイソヒヨドリのソロを鑑賞してください。

 イソヒヨドリは大屋根の周りで子どもたちがはしゃいでいても、一向に気にする様子もなく優雅にさえずっていますが、地面にはなかなか降りてこようとはしません。ところが子どもたちが、キャンプ場や生活棟に行ってしまうと、「今がチャンス」とばかりに大屋根の下や、隣の芝生広場に舞い降り、虫などを探しています。

 イソヒヨドリのさえずりが響く大屋根の周りでは、シジュウカラのベビーベット作りが最終段階に入ったようで、仕上げのクッション材、獣毛をくちばしいっぱいにくわえて巣箱に運んでいます。その隣では、もうとっくに北国に渡ったと思っていた、ウソとマヒワが草の芽をついばんでいました。

文責 増田 克也
 

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