ヒドリガモ 06.11.28





カモがやってきた!



 南但馬自然学校から、県道を西へ約3q下ると円山川にたどり着きます。円山川は朝来市生野町を源に、養父市から豊岡市をへて日本海に注ぐ、長さ68qの一級河川で、本校を訪れる子どもたちも、生物観察や石拾い、水遊びにと、日頃からよく利用するお馴染みの川です。その円山川にカモが渡って来ました。まだ種類は少ないですが、これから寒さが増すごとに、数が増えるのではないかと期待しています。それでは円山川の中流域、竹田地区周辺のカモを2種類紹介します。

 まず、上の写真を見てください。このカモは名前を“ヒドリガモ”といいます。見ていると時おり「ピュー」と澄んだ声で鳴き、オスメス仲睦まじい姿を見せてくれます。右に写っている身体がグレーのものがオス、左の2羽がメスです。
ヒドリガモはユーラシア大陸から日本へ越冬のためにやってくる中型のカモです。くちばしの先が黒く、オスは首から頭にかけての茶色い部分が、柔らかいビロードのような風合いで思わず触れてみたくなります。一番の特徴は顔の正面、おでこからくちばしに続くハイライトで、鼻筋に白粉を引いたお祭りのお化粧のようです。
 ヒドリガモは全国的に多いカモで、寒くなると竹田地区の円山川でも普通に見られますが、今の時期はまだ珍しい存在です。

 ヒドリガモより一回り大きくペアで泳いでいるのは、オスの青い首が美しい“マガモ”です。一般に「カモ」と言えばこのマガモのことを指すように、カモの代表選手です。多くの野鳥のオスは、メスに比べて美しい姿をしていますが、カモはその特徴がはっきりしています。では、改めてオスメスを見比べてみてください。どうですか、別の種類かと思うほど色や模様に違いがありますね。オスは色がきれいなだけではありません。尾羽の先にもさりげなくこんなおしゃれをしています。

 おや、こちらに少し変わったマガモがいますよ。一見してメスのように見えますが・・・胸の色がメスとは違います。それに、オスにある白い首輪も見えます。いったいこのマガモはオス、それともメス、どちらでしょうか?  それではヒントを出します。

 カモの仲間は寒くなると、北の国から日本へやって来ます。オスは日本に着いた頃には、みんな茶色の地味な色をしていますが、しばらくすると美しい羽に着替えをします。この美しいプロポーズの衣装をまとい、冬の間に結婚相手を見つけて、春には再び北の国に帰っていきます。

 もうわかりましたね。この“変わったマガモ”は日本へ到着したばかりのオスです。すでに他のオスはすっかりきれいな羽に着替えています。このオスは少し出遅れたのでしょう。私が見ている間も、せっせと羽づくろいに精を出していました。

 これから春になるまで、円山川に行くといつでもカモたちに出会うことができます。昼間のカモは休んでいることが多いので、驚かせないように、そ〜っと観察しましょう。羽づくろいや、水浴び、時にはプロポーズのダンスを披露してくれるかもしれません。野外での観察は寒いので服装を整えて出かけましょう。できれば、望遠鏡双眼鏡があるとカモの姿がはっきり見られていいですね。
 
文責 増田 克也
 
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