雪の日に小鳥

 この冬、二度ほど雪が積もりました。雪は全てを白一色で覆(おお)い隠(かく)し、辺りを美しい銀世界へ変化させますが、小鳥たちにとっては困りものです。 それは雪で地面などが閉ざされると、食べ物を採る場所が大幅(おおはば)に制限されるからです。今回の自然のページは、そんな雪の日に現れた、どことなく私たち人間に似た表情を見せる、小鳥たちの一コマを並べてみましたのでご覧ください。


 まず、最初に登場するのは、熟れた柿(かき)の実を求めてやって来た、赤茶色のベストを着たヤマガラです。細い枝を両足でしっかり掴(つか)み「どれにしようかなぁ?」一番美味しそうな実を物色(ぶっしょく)するように見回しています。長い思案の後に、目当ての実に飛び移り、二度三度とついばむと、すぐに行ってしまいました。


  柿の木がある斜面(しゃめん)の谷側で、「チッ、チッ」という声と共に笹(ささ)が揺(ゆ)れています。ひょっこり藪(やぶ)から出て来たのは、胸から腹に続く黄色がよく目立つアオジです。主に地面で草の種などを食べているアオジですから、きっとこの雪に困惑(こんわく)していることでしょう。一度は雪の上へ降りたものの、再び雪のない藪へ姿を消しました。



  僅(わず)かに残る萩(はぎ)の実をついばむのは、黄色いとんがり頭が特徴(とくちょう)のミヤマホオジロです。折からの風にあおられると、足を支点に頭と尾羽(おばね)を上下させてシーソーのようにバランスを取りながら、実をついばむ機会を伺(うかが)いますが、遂(つい)に断念



 「一同、礼!」一斉(いっせい)に土が覗(のぞ)いた地面をつつくのは、こちらに向けた茶色の頭も愛らしいスズメたちです。このスズメは美味しそうな草の種を探し当てたまでは良いものの、くちばしからはみ出た長い根っこに困惑気味。すぐ近くの川岸では、スズメによく似たホオジロが、雪で折れ曲がったススキの穂(ほ)を、たった一羽で扱(しご)いていました。



 「あっ、雪が降ってきた・・・」と言わんばかりに空を見上げるのは、羽に白斑(はくはん)を付け、ロマンスーグレーの紳士(しんし)を気取ったジョウビタキです。早速、民家の庭にある植え込(こ)みの中で、雨宿りならぬ雪宿りです。しばらく動かず外を眺(なが)めていましたが、目にも止まらぬ早さで、くるっと体を回転させて、植え込みの奥(おく)へ潜(もぐ)り込みました。

 野鳥たちは、食べ物探しに集中するあまり、雪の日ならではの行動を普段(ふだん)よりも近い距離(きょり)で、見せてくれることがあります。みなさんも身近な野鳥に目を向けてみてはいかがでしょうか。今までにはない、新しい発見があるかもしれませんよ。

文責 増田 克也



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