緑の落ち葉
コスモスの花が揺(ゆ)れ、キンモクセイは香(かお)る、秋は日々深まりを見せるこの頃(ごろ)です。このお話は、少し前のことになりますが、8月から9月の終わりにかけての出来事です。
それでは、上の写真をご覧ください。ここは本校に滞在(たいざい)する、子どもたちの生活の拠点(きょてん)となる生活棟を繋(つな)ぐ小径(こみち)です。緑の葉っぱが落ちていますね。この葉っぱは、道端(みちばた)にあるドングリがなる木、コナラのものです。この時季、小径を通るとこんな光景を度々(たびたび)目にします。
いったいどうしたことでしょう? 秋が深まれば、葉っぱは自然に落ちますが、それはまだまだ先のことです。昨夜、強い風が吹(ふ)いたでしょうか? いいえ、そんなこともありません。それでは、リスなどの動物がドングリを狙(ねら)ってやって来たのでしょうか? どうやら、それも違(ちが)うようです。その証拠(しょうこ)に、落ちた葉っぱには、必ずドングリが付いています。
このドングリをよく観察すると、あれも、これも小さな穴が開けられていました。もうお解りですね。これは虫が卵を産み付け、枝を切り落としたものです。
その虫は、ゾウムシによく似た体長10ミリほどの甲虫(こうちゅう)で、名前をチョッキリと言います。面白い名前ですね。なんでも、枝をチョキッと切り落とすことから付いたそうです。実際にはスパッとハサミで切るようにはいかず、長い時間をかけて少しずつ噛(か)み切るらしいのですが、その断面はかなり滑(なめ)らかです。
気になるのは、卵が産み付けられたドングリの中です。そこで、拾い集めたドングリを2週間ほど寝(ね)かせ、茶色になったところで二つに切ってみました。するとそのいくつかから、幼虫が現れました。ドングリの中でしっかり息づいていたのですね。
来年は、是非(ぜひ)とも親虫が卵を産み付け、枝をチョッキリ!と切るところを見てみたいものです。私の頭で思い描(えが)くシーン、ハイイロチョッキリの動画が、NHKの学校向けサイト「NHK for School」http://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005401434_00000&p=box(NHKトップページ:http://www.nhk.or.jp/)にありますので、こちらをご覧ください。
文責 増田 克也