今どきの風景

 この日、越冬(えっとう)のためやってくる、渡(わた)り鳥などを目当てに朝来市内を中心に散策しましたが、全く成果はありません。そこで、今週の自然のページは、取材の道すがらにスナップした、今の風景を並べてみました。さあそれでは、ねぎ畑からスタートです。



 岩津(いわつ)ねぎの畑に朝日が差し込(こ)みました。昨夜の冷え込みで、青い葉にうっすらと白いベールをかぶった姿が美しく、カメラを向けました。岩津ねぎは、日本三大ねぎのひとつで“幻(まぼろし)のねぎ”と言われる当地方の特産物です。これから霜(しも)や雪に当たる度に一段と甘(あま)みが増し、鍋物(なべもの)には欠かせない冬野菜です。


  こちらはとっくに刈(か)り取りが終わり、ただいま休眠中(きゅうみんちゅう)の山田です。普段(ふだん)見慣れた何気ない風景も、朝日が照らせばそれなりに絵になるものです。
 未だに日が届かない足元の雑草にこびりついた霜の結晶(けっしょう)が、昨夜の冷え込みを物語っていました。



  日が高く昇(のぼ)れば空は青さを増し、霜は微塵(みじん)もなく消え去りました。今日はいい天気になりそうです。
 上の写真の畑には、ぽつんぽつんと茶色いものが等間隔(とうかんかく)で置かれています。これは何の畑だと思われますか。岩津ねぎが“幻のねぎ”なら、こちらは“黒いダイヤ”と称(しょう)される黒大豆の畑です。収穫期(しゅうかくき)を迎(むか)えた黒大豆は刈り取り後、束ねて並べられ、運搬(うんぱん)を待つばかりです。



 次は、本校の生活棟(せいかつとう)から朝来山へと続く雑木林に足を踏(ふ)み入れました。すると、キノコです。一日の最低気温が氷点下に迫(せま)るこの頃(ごろ)ですが、こんなにエネルギッシュに頭をもたげたキノコを見つけると、こちらまで元気になる思いがします。
 さて、このキノコの名前は・・・パラパラと図鑑(ずかん)をめくっても当てはまるものがありません。キノコは成長するにつれ、姿や色が変わるので同定するのが困難です。今度、詳(くわ)しい方に伺(うかが)うことにします。



 とある神社を通りかかると、この時期にあって、赤や黄色に彩(いろど)られたモミジが、目に飛び込んできました。おそらく今年の紅葉もこれで見納めでしょう。葉は多少黒くなり縮れていましたが、逆光線に透(す)けて炎(ほのお)と化す姿に、終焉(しゅうえん)の美を見たような気がしました。



 ここは、但馬の中央を南北に貫(つらぬ)く林道です。標高700m付近は、先ほどのモミジとは対照的な、モノトーンの世界が広がっていました。ハンターか、それとも林業関係者でしょうか、私以外にも、こんな雪山に用がある人がいるらしく、雪はタイヤで踏み固められています。下界にも間もなく訪れる、雪と氷の日々を予見させる風景でした。


文責 増田 克也



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