スポッとペッリト
 

 

一羽の小鳥が、木の先端(せんたん)にとまりました。茶色と灰色を基調にした身体に、黒のアイマスクが魅力的(みりょくてき)なモズです。一年を通して見られる、大変身近な野鳥なので、みなさんもよくご存じのことでしょう。
 
モズは、昆虫(こんちゅう)や小魚、時には自分より大きな、ネズミや鳥を捕(と)らえることもある、肉食の野鳥です。そのため“小さな猛禽(もうきん)”と呼ばれることもあり、見晴らしが利く場所で獲物(えもの)を探す姿をよく見かけます。

 

今回も、獲物探しをするものと思いきや、突然(とつぜん)、あくびを何度も始めました。

「おや、睡眠不足(すいみんぶそく)かな?」いいえ、そうではありません。
 
 

 

大きく開いた口の奥(おく)に、ミートボールのようなものが見えていますね。モズは、これを吐(は)き出そうとしているのです。

野鳥の中には、胃で消化できない骨や毛、甲虫(こうちゅう)の翅(はね)や甲殻類(こうかくるい)の甲羅(こうら)などを、口から出す習性を持つものがあり、その吐き戻(もど)す塊(かたまり)をペリットと呼びます。
 

 
 
どうにかペリットを吐き出そうと、顔を左右に振(ふ)り、奮闘(ふんとう)するモズですが、なかなか思うようにはいきません。苦戦している様子が、指を伸(の)ばした左脚(ひだりあし)からも見て取れます。

最後にこん身の力で、ゴルフスイングのように大きく頭を振(ふ)ると・・・


 
「スポッ!」ペリットは、見事に口から飛び出しました。ご覧ください、このホッとしたようなモズの表情を・・・

撮影(さつえい)するこちらも、思わず身体に力が入るモズのペリット吐きでした。


文責 増田 克也
 


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