トレードマークは長い脚


 本校から西に下ること3q、竹田地区を流れる円山川に、一本足で立ちくちばしを背中に突(つ)っ込(こ)んで休む、細長い鳥が目に付きました。白黒のスマートな身体、そして異様なほどに長い脚(あし)、これだけ特徴(とくちょう)があると、他のものと間違(まちが)えることはないでしょう。この背が高い水鳥はシギの仲間で、その名もセイタカシギです。

 セイタカシギは、15分ほど佇(たたず)んだ後、行動を始めました。川の中を物色するように歩き回り、ここぞというポイントでくちばしを素早く水中に差し込み、食べ物を捕(と)っています。長い脚を生かして川をかっ歩する様子を動画で撮(と)りましたので、まずは下の画像をクリックしてご覧ください。




 いかがでしたでしょうか。長い脚もさることながら、頭をひょいひょいと上下に動かす仕草が愛敬(あいきょう)たっぷりですね。
 ところで、セイカタシギは何を捕っているのでしょう。動画ではいくら目を凝(こ)らしても分かりませんので、この写真をご覧ください。確かにくちばしには獲物(えもの)をはさんでいます。これを拡大すると・・・どうやらトビケラの幼虫のようです。

 水から上がり全体が露(あら)わになると、脚はひときわ長く感じます。次に、脚の関節に注目してください。人間でいえば、膝(ひざ)の辺りの関節を、くの字に曲げています。これは人の膝と逆方向に曲がっていますので、何とも奇妙(きみょう)に感じますが、この一見して膝に見える関節は、実のところ踵(かかと)なのです。そうすると、くの字に曲がるのも納得できますね。ちなみに、セイタカシギの膝はこの辺りで、羽毛に隠(かく)れて普段(ふだん)は見えません。

 順調に食べ物を探していたセイタカシギが、しきりに首を傾(かし)げ始めました。これは目が側頭部にある、水鳥などが、上空を見るときによく行う仕草です。先ほどからトビが空を舞(ま)っているのを警戒(けいかい)しているのでしょう。気を取り直して、再び水中を探っていましたが、ついには飛び上がり、黒い翼(つばさ)を羽ばたかせて飛んで行きました。

 飛び去るセイタカシギの写真を見て、気付いたことがあります。それは飛ぶ際に脚をクロスに組んでいるのです。これは長い脚を安定させるためでしょうか。それともこの個体特有のものなのでしょうか。次に他のセイタカシギに出会う機会があれば、注目したいと思います。

文責 増田 克也



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