予期せぬ初雪

 12月9日の早朝、午前4時半ごろまで降っていた雨が、明るくなるにつれて雪に変わり、標高756.5メートルの朝来山は初冠雪(はつかんせつ)をみました。麓(ふもと)の本校は3センチほどの積雪で、上の写真にある芝生(しばふ)広場も、ほぼ白くなりました。それでは、突然(とつぜん)訪れた初雪の朝に、本校の様子を見て回りましょう。

 ここは南但馬自然学校のシンボル、大屋根広場です。普段ならキャンプファイヤーやクラフト等で子どもたちの歓声(かんせい)が飛び交っていますが、今日はひっそりとした朝を迎えていました。すでに周辺の雪は溶(と)け始め、靴跡(くつあと)はシャーベット状に広がっています。
 近くにある本館エントランス広場も、古いアルバムを開いたように、全てがモノクロームで統一されています。

 そんな中、黄色い落ち葉が目を引きました。生活棟の小径(こみち)で雪に埋(う)もれそうになっているこの落ち葉は、3枚の小葉(しょうよう)が揃(そろ)った、タカノツメのものです。普段なら、その存在に気付くことはなかったはずです。雪は意外なものを発見させてくれます。
 先の雑木林へ目をやると、未だ多くの葉を付けたタカノツメがぐったりと枝をしなだれています。この落ち葉は、おそらく風に乗って運ばれて来たのでしょう。

 「あれ、ここにもタカノツメの落ち葉が・・・?」ふと足元の黄色い葉っぱにしゃがみ込むと、それはウリカエデの実生でした。隣(となり)にはスギの実生が、尖(とが)った葉の先に水滴(すいてき)を付けて並んでいます。
 他には、重たそうに雪を乗せたサザンカの花や、枝ごとうなだれるソヨゴの実の赤が雪にひときわ映えて見えました。

 次に生活棟の裏側に回り込むと、いつもならここから見えるはずの竹田城跡(たけだじょうせき)は、灰色の空におぼろげながら浮(う)かんでいます。キャンプ場を下り、幾分(いくぶん)明るくなった但馬ふるさと館では、こんもりと枝を張ったヤマモモが芝生に円を描(えが)いていました。

 さあ、いよいよ雪と氷の季節が始まります。本格的な冬の到来(とうらい)を告げるこの初雪に、ほとんどのスタッフは、慌(あわ)てて車のタイヤを冬用のスタッドレスに交換し、冬支度は万全です。

文責 増田 克也



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