本校の自然観察路、くまコースを進むと、土が露出(ろしゅつ)した斜面(しゃめん)に立派なツチグリがありました。 以前、一緒(いっしょ)に山へ行った子どもたちに「これ何に見える?」と問いかけると、口々に「ホオズキ、タコ、星、太陽、エイリアン」などと答えが返ってきたことを思い出します。
改めて、ツチグリを見ても、確かにあれこれと想像をかきたてるユニークな形をしています。しかし、初めて見る人は、これがキノコだとはにわかに信じられないことでしょう。
その姿は、一般に言われる「キノコ型」とはたいそう隔(へだ)たりがありますが、胞子(ほうし)を出す点では同じです。ただし、その出し方に特徴(とくちょう)があります。
放射状に開いたヒダの真ん中には、胞子が入った丸い袋(ふくろ)があり、これに刺激(しげき)が伝わると、中央に空いた穴から胞子が出る仕組みになっています。
そのことを知ってからというもの、ツチグリを見つける度に、むくむくとイタズラ心が沸(わ)き立ち、つい、指で胞子の袋を突(つつ)いてしまいます。
早速、今回もチョンチョンと突いてみましたが・・・「あれ?」不発に終わりました。おそらく湿気(しっけ)ているせいでしょう。それならばと、ツチグリを手に取り袋を摘(つま)むと、「ブシュッ!」茶色の胞子が煙(けむり)のごとく吹き出しました。
胞子を噴射(ふんしゃ)するツチグリの姿は、幼い頃(ころ)にあこがれた戦隊アニメに登場するメカを思わせ、遊び心をくすぐるには十分です。この日、朝来山でツチグリに夢中になっていた私は、きっと子どものような表情で戯(たわむ)れていたことでしょう。
文責 増田 克也
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