チューリップで撮ろう


 先週の“自然のページ”にミヤマカミキリを掲載(けいさい)しましたところ、「どうやったらあんなに大きく虫の写真が撮れるの?」と問い合わせをいただきましたので、お答えしたいと思います。

 大きく写すには、目当ての昆虫(こんちゅう)に、逃(に)げられないよう、じわりじわり、そーっとそーっと近づいて撮影すればいいのです。ところが、上手く近づくことができてシャッターを押(お)しても、このようにピンぼけ

  約10pまで接近して撮影したが、ピンぼけになったアブラゼミ

になってしまい、思ったように写らないことがあります。これは、アブラゼミとカメラの距離(きょり)が近いため、カメラが被写体(ひしゃたい)を認識できず、背景にピントを合わせてしまったのが原因です。

 「なんだ、それじゃあ大きく撮れないじゃないか!」と嘆(なげ)かないでください。こんな場合はいい対処法があります。ほとんどのコンパクトデジタルカメラや携帯(けいたい)電話のカメラには、チューリップのマークが付いています。これは、マクロモードとか接写撮影などといって、ごく近くの花や虫などをクローズアップするときに便利な機能です。

 先ほどの、アブラゼミをチューリップのマークを操作して、マクロモードで撮影すると

     マクロモードで撮影するとピントぴったり!          そのまま撮影すると背景にピントが合ってしまう

、左側のようにアブラゼミにしっかりピントが合った写真を撮ることができます。実際の設定の方法や操作については、カメラの機種によって異なりますので、説明書をご覧ください。
 
 その他、撮影に使用するカメラも、場合によっては、接写用レンズを付けた本格的なデジタル一眼レフカメラより、手軽なコンパクトデジタルカメラが有利なことがあります。
 それは、一眼レフと比べて、コンパクトカメラの方が、手前から奥まで、広い範囲でピントが合うという特徴(とくちょう)があるからです。

 この写真は、一眼レフでショウリョウバッタを正面から撮影したものです。目にピントを合わせていますので、縦長(たてなが)の目はハッキリしていますが、目より少し奥にある口や、手前の触角(しょっかく)はすでにボケています。そして、背景に至(いた)っては何があるのか全くわかりません。
 一方、コンパクトカメラで撮影すると、ショウリョウバッタはもちろん、背景にある建物まで見て取れます。

 柔(やわ)らかいボケ味が魅力(みりょく)の接写用レンズを付けた一眼レフの写真と、コンパクトカメラのものとでは、好みが分かれるところで、一概(いちがい)にどちらがいいとも言えませんが、手軽で携帯性に優れ、背景までピントが合うことで、その昆虫の生活環境を写し込める点では、コンパクトカメラに分があると思います。

 さあ、みなさんも手軽なコンパクトカメラを携(たずさ)えて、身近な昆虫や草花をチューリップマークで撮ってみましょう。

文責 増田 克也



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