一足早い正月気分
いつも“自然のページ”の最初に掲載（けいさい）する写真は、動物や植物、あるいは風景といった自然物ですが、今回の写真をご覧になって「なんじゃこりゃ？」と思われた方もあることでしょう。でもよ〜く見ると・・・・
ここは、とあるスーパーの店先です。なんの変哲（へんてつ）もない光景ですが、写真の右下部分、赤い4つの矢印で示した箇所（かしょ）にはスズメが写り込んでいます。
スズメたちは辺りを気にしながらも、店先に積まれた緑色のコンテナに、少しずつ吸い寄せられるように集まり、すでに1羽はコンテナの縁（ふち）にとまっています。スズメたちを引きつけて止まないコンテナでは、大小様々なしめ縄（なわ）が販売されていました。
「あら、このしめ縄ときたら、随分（ずいぶん）立派なこと・・・ 形もいいし、仕上げもきれいだわ・・・ でも・・・それよりなにより、なんて美味しそうなの！」などと、スズメの話し声が聞こえてくるようです。
そうです、スズメたちのお目当ては、しめ縄の稲穂（いなほ）についた籾（もみ）なのです。この時季にお米が食べられるのですから、大変なご馳走（ちそう）ですね。
一番人気はこの“ゴンボ”で、籾がたくさん付いています。二番手は780円の“特大メガネ”。98円と大変リーズナブルながら全く籾がない“小メガネ”には見向きもしません。
写真を大伸（おおの）ばしにしてみると、他のスズメがあれやこれやと品定めをしている最中に、いち早くコンテナに潜（もぐ）り込み、ちゃっかりご馳走にありついている者もいました。
スズメたちが立ち去った店先には、たくさんの籾殻（もみがら）が散らかっています。コンテナの中をのぞくと、人気が高いコンボは、かなりの量の籾が食べられ、1900円の値札もむなしく、価値がぐ〜んと目減りしたように見えましたが、スズメたちは思いがけないしめ縄のご馳走に、一足早い正月気分を味わったことでしょう。
文責 増田 克也
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