エクステは獣の毛



 山の谷間を流れる小川にシジュウカラがやってきました。シジュウカラは山地から市街地まで、幅(はば)広く見られる大変身近な野鳥です。黒い頭に白いほっぺた、胸にはネクタイのような模様があるので、知っている方も多いことでしょう。

 ところで、上の写真のシジュウカラには、頭に白い筋があります。前から見ると、白髪(しらが)のような細い毛がついているのがよくわかります。まるで人でいうところの、エクステンションをつけているかのようです。 しかし、シジュウカラがおしゃれのためにエクステンションをつけるはずもありません。では、どうしてこんなものがくっついたのでしょう?

 今の季節、野鳥たちは巣作りや子育てで忙(いそが)しい繁殖期(はんしょくき)を迎(むか)えています。シジュウカラの仲間は、巣作りの際にコケや動物の毛を材料

              地面で獣毛を採る、シジュウカラ科のヒガラ

にします。このシジュウカラも、動物の毛を採っている最中に、何かの拍子(ひょうし)で頭にくっついてしまったようです。

 シジュウカラは、頭についた毛がよほど気持ち悪いのか、早速、小川に降りると、水浴びをはじめました。これだけ勢いよく水を浴びれば、気になる毛もすっきり取れるだろうと思いきや、まだしっかりとくっついています
 毛が外れないのも無理はありません、拡大写真で確認すると、毛には結び目があり、頭にがっちりとくくりつけられているようです。

 この後、シジュウカラと頭についた毛がどうなったのか、気になるところではありますが、今回の珍(ちん)事件、シジュウカラにとっては、繁殖期ならではのとんだハプニングだったことでしょう。

文責 増田 克也


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