ライバル出現!?



 4月9日、朝のこと、校内の巡視(じゅんし)から事務室へもどってきた、本校スタッフUさんから、矢継(やつ)ぎ早に質問を受けました。「さっきなぁ、けろトープになぁ、スズメより大きいてなぁ、羽が青くてなぁ、腹が白い鳥がおったんやけど・・・あれはなんや?」「う〜ん、羽が青いとなればカワセミか・・・?、でも腹は白くないしなぁ・・・・?」首を傾(かし)げながら、そばにあった野鳥図鑑(やちょうずかん)をパラパラとめくり・・・「これや!」白いお腹が決め手となり、謎(なぞ)の鳥は程なくオスのオオルリと判明して一件落着と相成りました。

 しかし、南但馬自然学校切っての野鳥通と自負する私の心中は穏(おだ)やかではありません。「しまった、先を越(こ)された!」実はこの春、まだオオルリを見ていないのです。「まあ、そのうちにどこかで出くわすだろう」とその場は余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)だったものの、その後もオオルリとは縁(えん)がなく、2日、3日と時が経つにつれて焦(あせ)る気持ちは募(つの)るばかりです。

 オオルリは春に日本などで繁殖(はんしょく)をするため、南方の国からやってくる渡り鳥です。まずオスが先に繁殖地へ渡って縄張(なわば)りを作り、その後、到着(とうちゃく)したメスと番(つが)いになります。
 オスは頭から背中にかけて青色で、白いお腹もよく目立ちます。また、鳴き声も美しくウグイス、コマドリと合わせて「日本三鳴鳥」と称(しょう)され、昔から詩歌の題材に用いられるなど馴染(なじ)み深い野鳥です。

 オオルリ発見の一報から一週間以上も経過した4月17日、ようやく私にも運が巡(めぐ)ってきました。自然観察路くまコースで、林の中ほどを素早く動く影(かげ)が目にとまりました。その影はひらりひらりと枝から枝へ何度か飛び移り、近くの枝にとまりました。
 顔は黒く、青い身体に白いお腹、これは間違(まちが)いなくオオルリ です。何度かシャッターを切ると、突然(とつぜん)こちらへ向かって飛び出し、私の頭上を越えてとまった枝から振り向きざまに視線を投げかけると、再び林の奥へ姿を消しました。
 オオルリは、初夏に入るとよくさえずるので、その声を頼(たよ)りに木の梢(こずえ)や高い横枝などを探せば比較的(ひかくてき)簡単に見つけることができますが、春、最初の出会いは、また格別でうれしいものです。

 ところで、Uさんの様子はと言うと、「わし〜、最近、鳥が気になってしゃあないんや!」「家でも双眼鏡(そうがんきょう)で観とるしなぁ」「図鑑を覧て、“これや!”とわかったらオモロイで!」
 オオルリの一件で勢いづくUさん、新たなる発見に意欲満々です。これは、私にとって強力なライバルの出現となったようです。

文責 増田 克也


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