春の天気



 先週の前半は、いろいろな春の気象現象がみられました。まず月曜日の3月15日には、昨年より30日も遅(おそ)い春一番が吹(ふ)きました。本校でも時に台風並みの突風(とっぷう)が吹き、人が前に進むのもやっとのことです。風が止んだ後には生活棟へ続く石段に枝が散らばり、春一番の威力(いりょく)を物語っていました。

 翌16日の火曜日は、上の写真のように朝からもやっとしたはっきりしない天気でした。条件がよい日には但馬の山々が見渡せる、雲海展望台からもまったく眺望(ちょうぼう)がきかず、向かいの金梨山(かなしやま)ですらかすんで見えます。この視界をさえぎる、霞(かすみ)か靄(もや)のようなものが、遠く大陸から飛んできた黄砂だと知ったのは、夜のテレビニュースでした。

 春一番の15日、黄砂の16日、両日とも気温は10℃を上回る過ごしやすい気温でしたが、17日はぐっと冷え込み、朝来山の5合目から上は雪で白くなりました
 山の様子を見に行くと、雪は常緑樹のスギモミの枝に乗っている程度で、すでに登山道のものは消えています。どこかで、花を咲かせているのでしょう。LPガスに似た鼻を突くヒサカキ

                   ガス臭を放つヒサカキの花

の匂(にお)いが風に運ばれてきます。辺りを見回しましたが見つけることはできず、代わりに愛らしい黄色いポンポンをたくさんつけたダンコウバイの花が目につきました。

 「ヒッヒッ」甲高(かんだか)い声にふり返ると、冬を朝来山で過ごしたルリビタキが、ツタの絡(から)まる茂(しげ)みの中で身を隠(かく)しています。その場でしばらく見ていると茂みから出て、春の訪れを待ちわびたように鳴きはじめました

 下山するころには天気も回復し、青空を背景にいくつもつぼみを付けたキブシが揺(ゆ)れています。道端(みちばた)では、にっこり微笑(ほほ)んだカラスザンショウの葉痕(ようこん)に「もう春だよ」と語りかけられたような気がしました。

文責 増田 克也


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