二つの川へ



 本校は、西を流れる一級河川の円山川と、その支流で東を流れる与布土川(ようどがわ)に包み込まれるような場所に位置しています。どちらも自然学校で訪れた子どもたちが、散策や生物の観察などでよく利用する川です。今回の“自然のページ”はこの2つの川に野鳥たちの姿を探してみました。

 まず、与布土川に足を向けると上の写真にあるイカルチドリが、朝日に照らされた川の浅瀬(あさせ)でちょこまか忙(いそが)しく動いていました。するといきなり頭を川の中に突っ込みはじめ、盛んに水しぶきを上げています。どうやらイカルチドリは川底に餌(えさ)を探しているようです。この動作を何度も繰(く)り返し、せわしなく動き回っていたイカルチドリが、一瞬(いっしゅん)、ピタッと止まりました。見るとくちばしに何かくわえています。写真を拡大すると小さなゴカイのようなものを捕(と)っていました。
 イカルチドリがあわただしく餌を捕る川下では、上の喧騒(けんそう)などどこ吹く風、細長いくちばしをピンと上に振(ふ)り上げ、ひたすら空を仰(あお)ぎ見るカワセミがブルーの背中を輝(かがや)かせていました。

 次に向かった円山川では、オスのヒドリガモが銀色のくちばしを水面に付け、餌を濾(こ)し採るように向かって来ました。身体の羽は、北国から渡ってきた昨年10月のころと比べるとすっかりきれいに着替えています。
 バチャバチャという水音が耳に入り、遠く対岸近くに目をやれば、カワウが大きなナマズを捕らえたまではよいものの、なかなか呑(の)み込めずに悪戦苦闘(あくせんくとう)しています。
 さらに下流へ向かうと、魚を食べるカモの仲間、カワアイサに出会いました。先ほどのカワウはウ科、そしてこのカワアイサはカモ科、両者は全くの別種ですが、色はともかくとして、カギ型に曲がったくちばしや潜水(せんすい)に適したスリムな身体など似通った部分が見て取れます。どちらも魚を捕らえるために進化した結果、共通点を持つに至ったのでしょう。自然の不思議を感じながら、茶色いボサボサ頭のメスと、青黒く光るポマードで固めたようなヘアースタイルのオスにシャッターを切り帰路に着きました。

文責 増田 克也

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