冬のスズメ


 秋から冬にかけてスズメは群れになります。群れは寒さが増すごとに大きくなり、一度、スズメたちが木の枝に集まると枯(か)れ木に茶色い花が咲いたようです。
 ところで、なぜスズメは群れるのでしょう? その理由として「食料が乏(とぼ)しくなる季節には沢山でいた方が餌(えさ)が見つけやすい」または、「外敵の接近をいち速く察知するには群れているのが有利」などと言われていますが、本当のところはよくわかっていないようです。

 辺りが雪に閉ざされると、地面が露出(ろしゅつ)しているところで餌をついばむスズメの姿をよく目にします。驚(おどろ)かせないように、息を潜(ひそ)めて見ていると、仲間が餌を食べる姿に、次々とスズメが集まります
 群れになったスズメたちは、脇目(わきめ)もふらず、夢中に食べているようですが、何かの拍子(ひょうし)に中の1羽が飛び出せば、それを合図にまるでパニックに陥(おちい)ったかのように舞(ま)い上がります。しかし、遠くまで飛んでいくことはなく、近くの屋根で様子をうかがい、安全を確認すると再び地面へ下りてきます。

 田んぼに山積みにされた籾殻(もみがら)にも、スズメが集まっていました。籾殻の中には餌になる虫でもいるのでしょう。頭を突っ込んでは足でかき出し、餌探しに奮闘(ふんとう)しています
 沢山集まると、少しでも多く餌が採れるよりよい場所を確保しようと、決まったようにいざこざが起こります。この争いはエキサイトし、ついには空中戦に発展する始末・・・
 群れが去ったその後は、スズメの仕業とは思えないほどの穴がいくつもポッカリと空いていました

 スズメが群れる事情はわからずとも、集まった彼(かれ)らの仕草はとても愉快(ゆかい)なもので、時には人間社会を垣間見るような行動も観察できます。さあ、この季節、みなさんも冬のスズメに注目されてはいかがでしょう。

文責 増田 克也

“自然のページ”のご意見ご感想をメールでお寄せください
Email mtajimashizen@pref.hyogo.lg.jp