小さなカラスは大陸生まれ



 南但馬自然学校近くの田んぼに、2羽のコクマルガラスがやって来ました。コクマルガラスは、ユーラシア大陸東部などで繁殖(はんしょく)し、冬に日本へ渡り、広い農耕地や干拓地(かんたくち)などで生活します。
 但馬地方では北部の豊岡市で毎年のように少数が観察されますが、山間(やまあい)の本校周辺に飛来したのは大変希なことです。

 コクマルガラスの特徴(とくちょう)は、なんと言ってもそのサイズでしょう。大きさはハトくらいで、よく見かけるハシボソガラスと電線に並んでとまると、コクマルガラスがいかに小さいかがよくわかります。鳴き声も独特で「キュー、ミュー」と聞こえるその声はまるでネコのようです。

 2羽のコクマルガラスは、ハシボソガラスの群れに入り込み行動していましたが、田んぼで餌(えさ)を採るときも常に離(はな)れません。図鑑によると、コクマルガラスの結婚形態(けっこんけいたい)は一夫一妻らしく「ひょっとしてこの2羽は夫婦?」と思えるほど絶えず寄り添(そ)い仲の良いところを見せてくれました。1羽が飛べば

                  体に比べてくちばしが小さい

、すかさずもう1羽も後を追い

           光の当たる角度によっては首の辺りが白っぽく見える

、2羽で戯(たわむ)れながら飛ぶ姿はランデブーのようです。

 次の日、再びコクマルガラスを探しましたが、どこへ行っても見つけることはできませんでした。きっと広い農耕地を求めて移動したのでしょう。
 今回、出会った2羽のコクマルガラスは“暗色型”と呼ばれる黒い個体でしたが、この他に白黒模様の“淡色型(たんしょくがた)

                   後頭部から腹にかけて白い

”があり、次回は是非(ぜひ)、この淡色型

               胸は黒く、小さなエプロンをしているようだ

の飛来に期待したいものです。

文責 増田 克也

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