オオイヌノフグリ 09.02.10 




えっ、もう春!?



 先週末はいいお天気に恵(めぐ)まれ、気温はぐんぐん上がり最高気温は10℃を越(こ)えました。これは3月中旬の気候だそうです。しかし、日中と対照的に朝の冷え込みは厳しく、空気までも凍(こお)りつきそうな寒さでした。

 こんな朝にはきっといいものが見られるはずです。ピーンと張りつめた冷気で眠気を吹っ飛ばし、田んぼへ足を向けると予想した通り、畦(あぜ)のオオイヌノフグリは白くなり、小さなクリスマスツリーに変身していました。近くには赤味を帯びたスイバが凍(い)てついています。葉の周りをぐるりと取り囲んだ氷のギザギザが、まるでノコギリの歯のように見えます。

 田んぼを後にして峠(とうげ)を越えると、突然、濃(こ)い霧(きり)に包まれました。与布土川(ようどがわ)の畔(ほとり)では、水面に突き出したいつもの枯(か)れ草にカワセミがとまっています。この霧では魚を探すのはとても無理でしょう。カワセミは水面に視線を向けることもなく、静かに霧が晴れるのを待っているようです。
 次に目に付いたのはハシボソガラスです。昨夜はどこでねぐらをとったのでしょう、この朝は黒い羽が白くなり“凍(い)てガラス”になっていました。

 午前9時を過ぎると、南但馬自然学校の生活棟に日が差し込み始めました。どうやら氷と霧の時間はこれで終わりのようです。
 午後から再びオオイヌノフグリの田んぼを訪れると、朝には気付かなかった小さな花が開いていました。ルリ色の花を辺り一面に咲かせる全盛期には、まだまだおよびませんが、この日の青空に負けないくらいの鮮(あざ)やかな花です。

 雪は山際(やまぎわ)の日陰(ひかげ)にわずかに残るだけとなり、すでに道端(みちばた)のウメは花をほころばせています。もえぎ色の田んぼでは、降り注ぐ柔(やわ)らかな日を浴びてタシギがくつろいでいました。
 このまま春になってしまうのでしょうか。行く冬が名残おしいような、なんだか微妙(びみょう)な季節となりました。

文責 増田 克也


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