はやにえ 08.12.24




“はやにえ”の行く末は・・・



 まずは、上の写真をご覧ください。いつもなら動物や植物の写真を載(の)せるところですが、今回の“自然のページ”は風景にしてみました。しかし、ただの風景写真ではありません。
 写真の右には、針金に突(つ)き刺(さ)されたバッタが写っています。針金が付けられた鉄棒は、田畑をシカやイノシシに荒(あ)らされないよう網(あみ)を張るために立てられた支柱ですが、こんなところにいったい誰(だれ)がバッタを刺したのでしょうか。
 
 このバッタを突き刺したのは、モズという野鳥の仕業(しわざ)です。モズは昆虫(こんちゅう)などを捕(と)らえて食べる肉食の野鳥で、針金や木の枝など、先のとがったものに獲物(えもの)を突き刺す習性があります。この突き刺した獲物を「はやにえ」と呼び、昆虫だけでなく、カエルや小魚、時には自分の体より大きな小鳥やモグラなども“はやにえ”にすることがあります。
 では、何のために“はやにえ”を作るのでしょう。それは、エサが乏(とぼ)しくなる冬に備えるため、縄張(なわば)りを示す目印にするため、エサを固定し食べやすくするため、などいろいろな説があり本当のところはよくわかっていないようです。

 12月22日、夕方から降り始めた雨はみぞれに変わり、翌日23日、初冠雪(はつかんせつ)を迎(むか)えた南但馬自然学校の朝来山は、うっすらと雪化粧(ゆきげしょう)をしたものの、雪は山頂から五合目付近でとどまり、里には降りてきませんでした。

 写真の“はやにえ”を見つけてから、かれこれ1ヶ月になります。しかし、モズが食べた様子もなく未だに何の変化もみられません.。
 モズはこの“はやにえ”をどうするつもりでしょう。地面が雪で閉ざされた時の、保存食としてストックしておくつもりなのか、すでに忘れてしまっているのか、はたまた単なる縄張りの目印なのか、雪の到来(とうらい)と共に“はやにえ”の行く末が気になるところです。

文責 増田 克也


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