コガモ 08.11.11




コガモがやってきた



 南但馬自然学校のすぐ近くの田んぼにコガモがやってきました。コガモはユーラシア大陸や北アメリカ大陸などから、越冬(えっとう)のため日本に渡る野鳥です。ほぼ全国に飛来し、川や湖、公園の池などで普通に見られますが、山間(やまあい)の南但馬自然学校では、大変珍(めずら)しい存在です。

 本校のある迫間区(はさまく)の西側に、以前から年中水が張られた田んぼが一つだけあります。その小さな田んぼに夕日が差し込む時刻になると、東の方角からコガモたちがやってきます。十数羽から二十数羽の群れは、一直線に田んぼに降り立つと暫(しばら)く辺りの様子を伺(うかが)っていますが、ほどなく土の中に頭をつっこみエサを採り始めます。
 コガモたちは、朝までここで過ごしますが、少しでも人や自動車などが近づく気配を察知すると、すくっと頭を上げて警戒(けいかい)し、ついには一斉(いっせい)に飛び去ってしまいます

 次の日、田んぼに降りたコガモをそっとのぞき込むと「あれ?、メスばかり?」田んぼの中には地味な色のカモばかりです。しかし、よく観察するとオスもちゃんといました。
 コガモのオスは冬に向けて美しい羽に着替えます。ここでは、ほとんどメスと区別がつかないものや、何となく羽の色が変わってきたもの、そしてもう少しで着替えが完了するものなど、いろいろなタイプのオスを観察することができました。このオスたちも、あと一月もすれば立派な衣装に衣替えすることでしょう。

 それにしても、なぜこの田んぼにだけ水があるのでしょうか。以前から不思議に思っていたので、近所の方にたずねてみると「持ち主が高齢(こうれい)のため稲作りができなくなり、草が茂(しげ)らないように水を入れている」ということでした。雑草対策で水が張られた休耕田が、今では思いもよらずコガモたちの憩(いこ)いの場となっているようです。

文責 増田 克也
“自然のページ”のご意見ご感想をメールでお寄せください
Email mtajimashizen@pref.hyogo.lg.jp