ハウチワカエデ 08.10.21




山の秋と里の秋



 すがすがしい秋の晴天が続いています。この好天に誘(さそ)われて山に出かけてみました。燃えるような紅葉を期待していましたが、コナラは少し黄色くなった程度。ヌルデも部分的に色づき始めたところです。そんな中、ハウチワカエデが他の木々を先導するように、青空のキャンバスに葉を赤く染めていました。
 木の葉の色づきを眺(なが)め、上ばかりを気にしていると、うっかり足下の小さな花を見落とすところでした。まるで“吹き戻(もど)し”を束ねたような、淡(あわ)いピンク色の花を開いたのはコウヤボウキです。こちらでは、アキノキリンソウが不規則に散りばめた黄色い花を咲かせています。
 既(すで)に、花を終わらせ実を結んでいるものもあります。染色(せんしょく)に用いると、秋晴れの空のような青色に染め上がるクサギの実や、赤と青が鮮(あざ)やかなマムシグサの実などが目を引きました。

 山を下りると、里の田んぼには、冬を日本で過ごす渡り鳥のアトリが群れていました。100羽ほどの群れが一心に餌(えさ)をついばんでいたと思うと、何かに驚(おどろ)いたように一斉(いっせい)に飛び立ちました。空を見上げると1羽のオオタカがアトリの群れに近づいていました。このオオタカも秋から冬にかけて農耕地などで見かけるようになる野鳥です。
 次に、北国からカモが来ていないかと、川に出向きましたが、年中見られるカルガモが浮(う)かんでいるだけでした。マガモやコガモといった、渡り鳥のカモたちが到着(とうちゃく)するのはもう少し先のようです。
 
 午後4時近くになり、川辺のススキが輝(かがや)き始めると、あっと言う間に日が落ち始め、6時には明日の好天を約束するかのように大きな月が登りました。
 
文責 増田 克也


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