ノビタキ 08.09.30




秋の訪れ



 先週、“秋の訪れを告げる野鳥ノビタキ”が南但馬自然学校周辺の田んぼにやって来ました。本州の北部や北海道などで子育てを終えた親鳥や、今年生まれた若鳥が、冬を過ごす東南アジアなどに向けた旅の途中(とちゅう)に立ち寄り、刈り取りが終わった田んぼで餌(えさ)をついばんだり、高く突(つ)き出した枝の先端(せんたん)で飛ぶ虫を探すなど、思い思いの時間を過ごしながら羽を休めています。

 ノビタキがくつろぐ田んぼの畦(あぜ)は、ヒガンバナが満開です。ヒガンバナは、遠い昔に中国や韓国(かんこく)から入ってきた帰化(きか)植物ということですが、今では日本の秋を代表する花のひとつになっています。
 川岸では、大きなアオサギが遠くを見つめていました。いつもは無骨(ぶこつ)なアオサギですが、ヒガンバナに彩(いろど)られるとそれなりに絵になるものです。

 川岸を上流へ向かって進むと、根がニンジンのように大きくなるキキョウ科のツリガネニンジンが、ベルの形をした花を揺(ゆ)らせています。川を更(さら)にさかのぼった薄暗(うすぐら)い山際(やまぎわ)には、ツリガネニンジンと同じキキョウ科で、根が漢方薬に用いられるツルニンジンも咲(さ)いていました。同じ日に、キキョウ科の「ニンジン」と名が付く花が2つも見られて、なんだか得をした気分です。

 ノビタキが南へ旅立ち、ヒガンバナが花を落とすと、南但馬自然学校の秋は一層(いっそう)深まります。見上げれば、澄(す)んだ高い空に秋の雲が広がっていました。

文責 増田 克也


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