オオルリボシヤンマ 08.09.16




金色と瑠璃色の産卵



 朝来山の麓(ふもと)にある雨乃宮(あめのみや)の池では、夏から秋にかけてオオルリボシヤンマというトンボをよく目にします。オオルリボシヤンマは北海道から九州に分布する日本固有種で、日本最大のオニヤンマより少し小さい程度の大きなトンボです。オスは体の側面にきれいな瑠璃色(るりいろ)の斑紋(はんもん)があります。一方メスは、金色に見える模様を持つ「緑色型」とオスによく似た「青色型」の2つのタイプがあり、オスより少し大きいことが特徴(とくちょう)です。

 オオルリボシヤンマは8月の終わり頃(ころ)から産卵を始めます。卵は主に、池の中央に茂(しげ)るヒルムシロという水草の茎(くき)に産みつけられますが、メスは半身が見えなくなるほど体を水中に沈(しず)めて産卵をするため、その詳(くわ)しい様子は伺(うかが)うことはできません。そこで、池に浮(う)かぶ朽(く)ち木に産卵することもあるので、それを待って観察していると、シッポの先をあちらこちらへせわしなく動かして産卵に適した場所を探し出し、鋭(するど)くとがった産卵管を突(つ)き刺(さ)して卵を産みつけていました。

 産卵中のオオルリボシヤンマは、静かにしていれば逃(に)げないので観察するにはもってこいですが、産卵に集中するあまり、無防備になりやすく、時にはカエルなどの天敵に襲(おそ)われることもあります。産卵はオオルリボシヤンマにとって命がけの作業と言えるでしょう。

 みなさんの近くに山沿いの木々に囲まれた池はありませんか。そんな場所があれば、是非(ぜひ)、足を運んでみてください、金色や瑠璃色に彩(いろど)られたオオルリボシヤンマの産卵を見られるかもしれませんよ。

文責 増田 克也


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