カラスウリ 08.08.12




闇夜に開く白い花



 まだ夜も明けきらない、早朝午前4時。闇(やみ)に浮(う)かぶ白い花が目に留まりました。この花は、夜に咲くことで知られるウリ科の植物、カラスウリの花です。おそらく昨夜開いたのでしょう、細いレース状の花びらは既(すで)に縮(ちぢ)れていましたが、未だに気高い雰囲気(ふんいき)を漂(ただよ)わせています。

 カラスウリは、雌雄異株(しゆういしゅ)と言われる、雌花(めばな)と雄花(おばな)をそれぞれ別の株につける植物です。今回、見つけた花は雌花で、早くに咲いた花の跡(あと)には小指の先ほどの実を膨(ふく)らませていました。この実も秋には赤く色づき、ニワトリの卵くらいに成長します。そして、実の中にできる茶色い種は、その形が“打ち出の小槌(うちでのこづち)”に似ていることから、「財布に入れておくとお金が貯まる」と言われています。

 日が高くなってから、再びこの場を訪れ花を見ると、昼間の花は何かしらきまりが悪そうにしていました。やはりカラスウリは夜に映える花です。次回は是非(ぜひ)、闇夜(やみよ)のスクリーンに白いドレスの裾(すそ)を広げた姿を見てみたいものです。

文責 増田 克也



“自然のページ”のご意見ご感想をメールでお寄せください
Email mtajimashizen@pref.hyogo.lg.jp