このことについては、かねてから御配慮願つているところでありますが、昨年末から正月にかけて、爆発性薬物並びに毒物による事故が相次いで起こつています。これら巷間の事故のいずれもが必ずしも学校の理科室薬品の盗用によるものとは断定されないにしても、事故の拡大や未然防止のためにも、この際、学校における理科室薬品の保管・管理のあり方を再点検して、より確実に保管・管理が行われるよう、下記事項について、管内の各学校に指導の徹底をお願いします。
参 考 関係法令抜萃(別紙)
(1)毒物・劇物取締法より
(2)同施行令より |
一関係法令抜萃一
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(1)毒物及び劇物取締法(S・48・10・12改正) |
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○(禁止規定) |
第3条 | 毒物又は劇物の製造業の登録を受けた者でなければ毒物又は劇物を販売又は授与の目的で製造してはならない。 |
第3条の2 |
3 | 特定毒物研究者又は特定毒物を使用することができる者として、品目ごとに政令で指定する者(以下特定毒物使用者)でなければ特定毒物を使用してはならない。 |
4 | 特定毒物研究者は、特定毒物を学術研究以外の用途に供してはたらない。 |
10 | 毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は特定毒物使用者でなければ特定毒物を所持してはならない。 |
○(毒物又は劇物の取り扱い) |
第11条 | 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失することを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。 |
2 | 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物若しくは劇物又は毒物若しくは劇物を含有する物であつて、政令で定めるものがその製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外に飛散し、漏れ、流れ出、若しくはしみ出、又はこれらの施設の地下にしみ込むことを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。 |
3 | 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外において、毒物若しくは劇物又は前項の政令で定める物を運搬する場合には、これらの物が飛散し、漏れ、流れ出、又はしみ出ることを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。 |
4 | 毒物劇物営業者及び毒物研究者は、毒物又は厚生省令で定める劇物については、その容器として飲食物の容器として通常使用される物を使用してはならない。 |
○(毒物又は劇物の表示) |
第12条 | 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物の容器及び被包に「医薬用外」の文字及び毒物については、赤地に白色をもつて「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなければならない。 |
3 | 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物を貯蔵し又は陳列する場所に「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。 |
○(毒物又は劇物の交付の制限) |
第15条 | 毒物、劇物営業者は、毒物又は劇物を次に掲げる者に交付してはならない。
一 年令18才に満たない者
二 略(第14条は譲渡手続) |
第15条の2 | 毒物又は劇物は、廃棄の方法については政令で定める技術上の基準に従わなければ廃棄してはならない。 |
○(事故の際の措置) |
第16条の2 |
毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物若しくは劇物又は第11条第2項に規定する政令で定める物が飛散し、漏れ、流れ出、しみ出、又は地下にしみ込んだ場合において不特定又は多数のものについて、保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その旨を保健所、警察署又は消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じなければならない。 |
(2) 毒物及び劇物取締法施行令(S・50・12・24改正)
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第9章 毒物及び劇物の廃棄 |
○(廃棄の方法) |
第40条 | 法第15条の2の規定により、毒物若しくは劇物又は法第11条第2項に規定する政令で定める物の廃棄の方法に関する技術上の基準を次のように定める。 |
1 | 中和、加水分解、酸化、還元、稀釈、その他の方法により毒物及び劇物並びに法第11条第2項に規定する政令で定める物のいずれにも該当しない物とすること。 |
2 | ガス体又は揮発性の毒物又は劇物は、保健衛生上危害を生ずるおそれがない場所で少量ずつ放出し、又は揮発させること。 |
3 | 可燃性の毒物又は劇物は、保健衛生上危害を生ずるおそれがない場所で、少量ずつ燃焼させること。 |
4 | 前各号により難い場合には、地下1メートル以上で、かつ、地下水を汚染するおそれがない地中に確実に埋め、海面上に引き上げられ、若しくは浮き上がるおそれがない方法で海水中に沈め、又は保健衛生上危害を生ずるおそれがないその他の方法で処理すること。 |
毒 物 |
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黄リン、五硫化リン、三硫化リン、シアン化水素、青酸ソーダ、青酸カリ、青化カリ、青酸、青酸石灰、シアン化第二水銀、塩化第二水銀、硫酸ニコチン、ニコチン、砒素、砒酸塩、砒酸石灰、砒酸鉄、無水亜砒酸、硫化第一砒素、三硫化砒素、バラチオン、メチルバラチオン、フッ化水素、など |
劇 物 |
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アニリン、アニリン塩類、アンモニア水(10%以上)、塩酸(10%以上)、塩化第一水銀、塩素酸カリ、過酸化水素(6%以上)、過酸化ナトリウム、カリウム、カリウム・ナトリウム合金、クレゾール(5%以上)、四塩化炭素、重クロム酸、臭素、しゆう酸(10%以上)、硝酸(10%以上)、水酸化カリウム(5%以上)、水酸化ナトリウム、(5%以上)、ナトリウム、ニトロベンゼン、二硫化炭素、ブロム水素、ホルムアルデヒド(10%以上)、メタノール、沃化水素、沃素、硫酸(10%以上)など |
引火性物質 |
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n−ブタノール、エチルアルコール、メタノール、酢酸エチル、ベンゼン、アセトン、トルオール、n−ヘキサン、二硫化炭素、エチルエーテルなど |
爆発性物質 |
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亜鉛末、アルミニウム末、アルミニウム、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸バリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、カリウム、過マンガン酸カリウム、五硫化アンチモン、酸化カルシウム、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、硝酸鉛、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭化カルシウム、鉛粉末、ナトリウム、マグネシウム、硫化ナトリウムなど |
みだしのことについては、昭和51年12月13日付教高第632号及び昭和52年1月14日付教義第408号により、かねてから御配慮願つているところでありますが、すでに御承知のとおり先般来劇物混入事件や爆発性薬品による事件が起こつており、殊に劇物混入事件については、中学生が準備室から盗用したものでもあり、治安上問題を投げかけているところであります。
ついては、この際学校における理科室薬品の保管・管理のあり方を再点検して、より確実に保管・管理が行われるよう、下記事項について、指導の徹底をお願いします。
学校における実験用薬品類の保管・管理及び実験・実習時における安全の確保については、昭和52年1月14日付教義第408号、昭和53年5月18日付教義第118号、昭和53年7月20日付教高第433号等で、かねてから配慮願つているところでありますが、先般、学校文化祭の準備中に不慮の爆発事故が発生いたしました。
つきましては、今後、再びこのような事故が起こらないよう、従前の通達等について、一層の確認をいただくとともに、特に下記事項について、貴所属の教職員又は貴管内各市町教育委員会に対して、指導の徹底をお願いします。