第5章 法 令

平成13年度版 兵庫県教育関係通知通達集より抜粋

○理科室薬品特に毒物・劇物並びに爆発性薬物の保管・管理の徹底につ いて(通達)

(昭和52年1月14日 教義第408号各市郡町教育委員会、各教育事務所長あて 兵庫県教育長)

このことについては、かねてから御配慮願つているところでありますが、昨年末から正月にかけて、爆発性薬物並びに毒物による事故が相次いで起こつています。これら巷間の事故のいずれもが必ずしも学校の理科室薬品の盗用によるものとは断定されないにしても、事故の拡大や未然防止のためにも、この際、学校における理科室薬品の保管・管理のあり方を再点検して、より確実に保管・管理が行われるよう、下記事項について、管内の各学校に指導の徹底をお願いします。

  1. 理科室薬品の点検を計画的に実施すること。
  2. 薬品庫、薬品戸だな及び理科準備室については、施錠の徹底を図ること。
  3. 薬品の保管に当たつては、有毒性、引火性、発火性、爆発性、混合危険性など各種の険性をも つものごとに分類するなどの工夫をすること。
  4. 毒物は特別の場所に施錠して保管し、取締法及び同施行令を厳守すること。また、受払簿を常 備の上確実に出納して、使用量及び現在量を明確にしておくこと。
  5. 劇物については施錠できる場所に保管し、使用後は必ず施錠しておくこと。なお、毒物と同様 に受払簿によって管理することが望ましい。
  6. 引火性、発火性及び爆発性薬品、特に塩素酸塩類等の薬品の管理に留意すること。
  7. 毒物・劇物並びに爆発性薬品が紛失盗難など異常のあつた場合は、直ちに適切な処置をとるこ と。
  8. 休業日の理科室薬品の管理については、校長において遺漏のないよう対策を講じること。
付 記 保健室関係薬品についても上記に準ずること。
参 考 関係法令抜萃(別紙)
(1)毒物・劇物取締法より
(2)同施行令より
一関係法令抜萃一
(1)毒物及び劇物取締法(S・48・10・12改正)
○(禁止規定)
第3条毒物又は劇物の製造業の登録を受けた者でなければ毒物又は劇物を販売又は授与の目的で製造してはならない。
第3条の2
3特定毒物研究者又は特定毒物を使用することができる者として、品目ごとに政令で指定する者(以下特定毒物使用者)でなければ特定毒物を使用してはならない。
4特定毒物研究者は、特定毒物を学術研究以外の用途に供してはたらない。
10毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は特定毒物使用者でなければ特定毒物を所持してはならない。
○(毒物又は劇物の取り扱い)
第11条毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失することを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
2毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物若しくは劇物又は毒物若しくは劇物を含有する物であつて、政令で定めるものがその製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外に飛散し、漏れ、流れ出、若しくはしみ出、又はこれらの施設の地下にしみ込むことを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
3毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外において、毒物若しくは劇物又は前項の政令で定める物を運搬する場合には、これらの物が飛散し、漏れ、流れ出、又はしみ出ることを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
4毒物劇物営業者及び毒物研究者は、毒物又は厚生省令で定める劇物については、その容器として飲食物の容器として通常使用される物を使用してはならない。
○(毒物又は劇物の表示)
第12条毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物の容器及び被包に「医薬用外」の文字及び毒物については、赤地に白色をもつて「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなければならない。
3毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物を貯蔵し又は陳列する場所に「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。
○(毒物又は劇物の交付の制限)
第15条毒物、劇物営業者は、毒物又は劇物を次に掲げる者に交付してはならない。
 一 年令18才に満たない者
 二 略(第14条は譲渡手続)
第15条の2毒物又は劇物は、廃棄の方法については政令で定める技術上の基準に従わなければ廃棄してはならない。
○(事故の際の措置)
第16条の2
毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物若しくは劇物又は第11条第2項に規定する政令で定める物が飛散し、漏れ、流れ出、しみ出、又は地下にしみ込んだ場合において不特定又は多数のものについて、保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その旨を保健所、警察署又は消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じなければならない。
(2) 毒物及び劇物取締法施行令(S・50・12・24改正)
第9章 毒物及び劇物の廃棄
○(廃棄の方法)
第40条法第15条の2の規定により、毒物若しくは劇物又は法第11条第2項に規定する政令で定める物の廃棄の方法に関する技術上の基準を次のように定める。
1中和、加水分解、酸化、還元、稀釈、その他の方法により毒物及び劇物並びに法第11条第2項に規定する政令で定める物のいずれにも該当しない物とすること。
2ガス体又は揮発性の毒物又は劇物は、保健衛生上危害を生ずるおそれがない場所で少量ずつ放出し、又は揮発させること。
3可燃性の毒物又は劇物は、保健衛生上危害を生ずるおそれがない場所で、少量ずつ燃焼させること。
4前各号により難い場合には、地下1メートル以上で、かつ、地下水を汚染するおそれがない地中に確実に埋め、海面上に引き上げられ、若しくは浮き上がるおそれがない方法で海水中に沈め、又は保健衛生上危害を生ずるおそれがないその他の方法で処理すること。
毒 物
黄リン、五硫化リン、三硫化リン、シアン化水素、青酸ソーダ、青酸カリ、青化カリ、青酸、青酸石灰、シアン化第二水銀、塩化第二水銀、硫酸ニコチン、ニコチン、砒素、砒酸塩、砒酸石灰、砒酸鉄、無水亜砒酸、硫化第一砒素、三硫化砒素、バラチオン、メチルバラチオン、フッ化水素、など
劇 物
アニリン、アニリン塩類、アンモニア水(10%以上)、塩酸(10%以上)、塩化第一水銀、塩素酸カリ、過酸化水素(6%以上)、過酸化ナトリウム、カリウム、カリウム・ナトリウム合金、クレゾール(5%以上)、四塩化炭素、重クロム酸、臭素、しゆう酸(10%以上)、硝酸(10%以上)、水酸化カリウム(5%以上)、水酸化ナトリウム、(5%以上)、ナトリウム、ニトロベンゼン、二硫化炭素、ブロム水素、ホルムアルデヒド(10%以上)、メタノール、沃化水素、沃素、硫酸(10%以上)など
引火性物質
n−ブタノール、エチルアルコール、メタノール、酢酸エチル、ベンゼン、アセトン、トルオール、n−ヘキサン、二硫化炭素、エチルエーテルなど
爆発性物質
亜鉛末、アルミニウム末、アルミニウム、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸バリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、カリウム、過マンガン酸カリウム、五硫化アンチモン、酸化カルシウム、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、硝酸鉛、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭化カルシウム、鉛粉末、ナトリウム、マグネシウム、硫化ナトリウムなど

(注)

  1. 薬事法、消防法も参照されたい。
  2. 理科室や準備室の現場では、施錠によつて薬品の出し入れにはん雑・不便を来たすことへの憂慮をする傾向があるが、法はあくまでも人を毒物や劇物の危害から守るために定められたものであるから、これを守るべきことはもちろん、一方、使用する多くの教師たちの誰もが不自由なく出し入れができるように簡便に錠をしめたりあけたりできる保管のくふうをしておくことも、この規制を守るための不可欠の条件の一つといえよう。

○理科室薬品特に毒物・劇物並びに爆発性薬品等の保管・管理の徹底について(通達)

(昭和53年5月18日 教義第118号 各市郡町教育委員会、県立学校長、各教育事務所長あて 兵庫県教育長)

みだしのことについては、昭和51年12月13日付教高第632号及び昭和52年1月14日付教義第408号により、かねてから御配慮願つているところでありますが、すでに御承知のとおり先般来劇物混入事件や爆発性薬品による事件が起こつており、殊に劇物混入事件については、中学生が準備室から盗用したものでもあり、治安上問題を投げかけているところであります。
ついては、この際学校における理科室薬品の保管・管理のあり方を再点検して、より確実に保管・管理が行われるよう、下記事項について、指導の徹底をお願いします。

  1. 理科室薬品の点検を計画的に実施すること。
  2. 薬品庫、薬品戸棚及び理科準備室については、施錠の徹底を図ること。
  3. 薬品の保管に当たつては、有毒性、引火性、発火性、爆発性、混合危険性など各種の危険性をもつものごとに分類するなどの工夫をすること。
  4. 毒物は特別の場所に施錠して保管し、「毒物及び劇物取締法」及び「同施行令」を厳守すること。また、受払簿を常備の上確実に出納して、使用量及び現在量を明確にしておくこと。
  5. 劇物については施錠できる場所に保管し、使用後は必ず施錠しておくこと。なお、毒物と同様受払簿によつて管理することが望ましい。
  6. 引火性、発火性及び爆発性薬品、特に塩素酸塩類等の薬品の管理に留意すること。
  7. 毒物・劇物並びに爆発性薬品が紛失盗難など異常のあつた場合は、直ちに適切な処置をとること。
  8. 休業日の理科室薬品の管理については、校長において遺漏のないよう対策を講じること。

付 記 保健室関係薬品についても上記に準ずること。
(参考)関係法令

    (1)毒物及び劇物取締法    (3)薬事法    (2)毒物及び劇物取締法施行令    (4)消防法

○学校における実験・実習時の安全確保について(通達)

(昭和55年4月21日 教高第76号 各県立学校長、各教育事務所長あて 兵庫県教育長)

学校における実験用薬品類の保管・管理及び実験・実習時における安全の確保については、昭和52年1月14日付教義第408号、昭和53年5月18日付教義第118号、昭和53年7月20日付教高第433号等で、かねてから配慮願つているところでありますが、先般、学校文化祭の準備中に不慮の爆発事故が発生いたしました。
つきましては、今後、再びこのような事故が起こらないよう、従前の通達等について、一層の確認をいただくとともに、特に下記事項について、貴所属の教職員又は貴管内各市町教育委員会に対して、指導の徹底をお願いします。

  1. 実験・実習用の機器、薬品等の管理体制を整備し、管理責任者及び使用責任者を定めて、保管・管理及び使用に当たつての安全管理の徹底を図ること。
  2. 平素から、実験・実習用機器の整備点検を行うとともに、安全確保の観点から、必ず使用直前の点検を行うこと。
  3. 実験・実習を行うに当たつては、平素から、機器、薬品などによる危害防止について、授業中の指導、掲示物等により指導を徹底するとともに、安全及び衛生に留意して実験・実習を進める態度を養うようにすること。
     特に、危険を伴う実験・実習については、事前に基本的な操作等についての指導を徹底し、実験・実習時にも十分な注意と指導を怠らないこと。
  4. 必要な実験・実習については、安全の確保について十分配慮した上で、積極的に取り組み、その成果を挙げるようにすること。
本信送付先
神戸市教育長
総務部教育課長
県立教育研修所長