【感想・意見など現場からの声】

立入禁止の学校より修理を要する学校より被害のない・被害の少ない学校より
●実験室が現在なく、実験が出来ないので早く予算をもらい、再開に向けて器具等を揃えていきたい。薬品庫の被害状況については多くの有機物による汚染に対して何の処置もしていない。薬品を置くところがないので、今は化学実験室に置いている。
  薬品棚は倒れないように壁に作り付ける必要があると思う。棚が倒れなくても振動で薬品が落ちているので、試薬瓶のはめ込み式など落下を防げる棚がよい。隔離壁を庫内に設ける。強力な排気装置と薬品冷蔵庫が必要。
化学薬品庫(補修)についての問題点は前ペ一ジ別紙参照
 
●直下型の地震に襲われると、どう対処しようと被害は免れない。しかし化学科は薬品瓶を1本ずつ入れるケースに納めていたので被害は少なかった。破損すると危険な薬品は固定した耐震用薬品ロッカーに収納すると良い。余分にガラス器具を棚に並ベない。生物の場合、実験ごとに大きなコンテナに詰め込んでおく。
 
●実験準備の為に薬品を取りだした時も、必ずトレイや小箱に入れておく事。 すぐに取り出せるところに砂や炭酸水素ナトリウムを置く。薬品などが原因で火災が起きないように注意する。
 
●第一に薬品庫の被害状況確認が大事だと思った。
 
●地震などの災害で多種の薬品(不明薬品)が混ざった場合どのように処理すれば良いか? 薬品庫の鍵保管場所はどこが適当か? 災害などで建物が崩れた場合または立入禁止になった場合を考慮し、鍵保管場所は、2カ所(例えば事務室1階、理科準備室4階)に分けて保管するのが良いのか? 教えてほしい。
  黄リン、アルカリ金属等の保管方法はバケツに砂を入れ、容器を砂に埋める、それを薬品庫で保管すると安全性が高くなる。
 
●震災が早朝、活動時間帯以前で、学校として理科として人的被害は免れ幸いだった。実験中震度7ではなすすべもなく、台の下にもぐるくらいしか出来ないのではないか。震度4くらいならガスを消して薬品の蓋をする余裕はあると思うが…。被害を出来るだけ少ない物にするために、今回の不幸中の幸いであったと思われる事、またこうしておけばよかった点などを以下にまとめた。
予備ガラス器具類はパッケージのまま戸棚に収納。2m位の落下では被害なし。ただし中にパッキング必要。
普段使用する為のガラス器具はかご(ざる)に入れて戸棚に収納。開き戸はだめだが、引き戸であったためかごがひっかかり、落下を免れた。各かごの中ではたまに1〜2個破損している程度で済んだ。バラで入れてあったものは、ぶつかりあったり、落下したりして破損している。
物理の生徒用器具類もかごにいれ、実験台の下部戸棚に収納してあったため助かった。
小物入れのプラスチック整理箱、ひき出し等は被害ほとんどなし。
薬品庫は耐震性のものが良い。ない場合は整理箱に入れて収納するのが良い。
箱がなく余裕をもたせて収納しているとお互いぶつかりあったり、倒れたりしている。
はめ込み式でない薬品庫は2段に重ねない。
準備室の希釈液は棚だけのものに入れない。施錠できなくても戸のついた戸棚に入れる。何かケースに入れてから収納するとなお良い。
1階より2、3、4階と上の方がよく揺れている。戸棚の中のものの飛び出し方が違う。
震度7では冷蔵庫もインキュベーターも重い金庫も倒れる。3階のつくり付けの戸棚が壁から20〜30p動いていた。収納庫は固定するということを考えるように。
机上及び本箱の中すベての書類、書籍がごちゃ混ぜ。準備室実験台と同じ部屋でなくて幸いだった。
薬品庫の収納の仕方は考えておいて良かった。
酸、アルカリは別々に入れる。
水と反応しやすいもの、火気厳禁のもの、気体が混合すると良くないものなど考慮しておく。
 
・混ざると危険な薬品は近くに置かない。
・ 生徒試薬も仕切のある箱にいれて保管する。
・ 高い戸棚(特にガラス戸)に割れ易い物品は置かないこと。
 
●建物の破損のわりに薬品の被害が少なかったのは、つくり付けの固定棚に転落防止の横棒が1本通っていたことと、薬品戸棚が木製で重く引き戸で開閉しにくいという難点が今回幸いした。校舎の取り壊しがまだ決定していないため物品を取り出すかどうか決めかねている状態。
 
●長い勤務(同じ学校)だったのでともすれば私だけが知っているという事が多すぎたと今回の地震で反省している。
 
★地震発生が今回のように勤務時間以外の場合、また勤務時間中、特に実験中に起こった場合、それぞれに対処の仕方が違うと思う。自宅及び周辺の状況の混乱、交通の途絶、電話の不通等など、思うように即行動出来なかったと反省している。
 従来より古い薬品及び廃液などの処理をどうにか出来ないかと相談していたが、今回の震災以降、事務室の手配でほとんどが処理出来た。今後は安全を重視し、出来るだけ必要以上の薬品を置かないように心がけると共に、廃液の処理回収が定期的にでもしていただけると有り難いと思う。
 
★準備室、実験室に戸棚などの保管庫が少なく、戸棚の上に積んで置く状態のため、各家庭と同様滑って落ちていた。地震以後、試薬・ガラス器具はダンボールに入れて床に置いている。試薬用の薬品整理箱を注文し、戸棚に入れようと考えている。
 
★流れ出た薬品の処理に悩まされたので、やはり薬品の管理にもっと工夫が必要だと思った。幸い今回は危険な薬品の流出がなかったので火災や毒ガスの発生がなくホッとしている。

今後の留意点
  • 危険な薬品類は実験が続いてもこまめに薬品庫に収納する。
  • 希釈溶液の試薬瓶などはスペースをつめてセットにして収納する。
    (薬品購入時に入っている仕切付きのダンボール箱を利用するなど)
  • ガラス器具などの収納もできるだけセットにして(箱、トレー、ふた付きのクリアボック ス、コンテナなどを利用)戸の閉まる棚に収納する。
  • キャスター付きの台は地震に強いという事がわかった。
 
★地震後一番に薬品の事が気になった。やはり使用する直前に薬品庫から出し、すぐに片づけるのがベストだが日常の業務の中では難しいことが多い。
 交通が分断されなかなか職場に行けず、危険物(薬品等)処理が気がかりだった。自宅近くの学校をお互いにチェックしあう連絡網でもあればと思った。
 
★今回破損した棚はスチール製のもの、木製の棚は多少ずれてはいるけれど頑丈にできているのかほとんど無傷。化学室など特に薬品を多く使うので、耐久性を考えて備え付けの木製棚を採用するのが望ましい。さらに実験台の上は常に整理整頓が望ましい。
 
★幸いにも本校は被害が少なかった。心配していた薬品類の被害もほとんどなかった。今回の地震を教訓に、薬品の管理、ガラス器具、備品などの保管を一層強化したいと思う。
 
★戸棚の戸は必ず締めておくようにする。薬品がたくさん詰まっていたので被害からまぬがれたのではないかと思えることがあった。
 
★常日頃より整理整頓に気をつける。
 
★棚など3段に積み重ねた物は落ちてしまったので、積み重ねない。
備品庫、書棚、実験器具などを入れた棚など考えながら置き換えた。薬品庫内も棚の上に置くのではなく、木箱をつくり、その中に薬品を並ベてそれを棚に置く。木箱には薬品名を貼り付けておく。棚にも滑り止めをつくる。
 
★器具、薬品などの安全な保管を常に念頭においておかなければならないこと、また生徒実験中に起こった場合も安全の確保を考えておかなければならないこと、を特に強く感じた。
 
★地震など予想もしていなかったし、どこに何を置くにしても限られた場所では特別安全なスペースも確保できず、棚の上、足元に置かなければならない。
 今回は早朝であったが、生徒が学校にいる間だったらと思うとぞっとする。ただ立ち尽くすだけでどうにも出来ないという事がよくわかった。これだけ大きく揺れると、私達の力ではどうする事も出来ない。せめて二次災害(火災、爆発、ガス発生、薬品反応)などが起こらないよう、薬品はできるだけ安全な場所(特に危険なものは床に近いところに置く。倒れないように工夫する。万一こぼれても安全であるよう工夫する。滑りの良い戸は少々の揺れでは開かないようにしておくなど)に保管するよう心がけ、ガス、電気、ストーブなど元栓を必ず確認しておかなければならないと思った。
 
▲今回の地震では被害はあまりなかったが、他校の状況などを聞いて、理科助手としてどういう行動をとればいいのか考えさせられた。
 
(注)
@T震度別分布及びU被害別分布に用いた地図は『兵庫のハイスクール兵庫県内公立学校ガイドブック』を活用させて頂きました。図中の………は、学区の境界を示しています。
 
A震度の分類はアンケートの回答により行ったもので公式発表とは異なっていることがあるかもしれません。また被害状況の分類についてもアンケートの回答内容に基づいたもので、特に理科施設・設備の被害を中心に行ったものです。
 
B被害状況別一覧表中の備考欄(*番号)印は、被害の状況欄(*番号)印に対応しています。

この度このレポートを作成するにあたりアンケート調査を実施しましたところ、大変お忙しいにも関わらず、快くご協力くださいました先生方、また貴重な資料をご提供下さいました先生方に厚く感謝申し上げます。
平成7年7月12日
第27回理科実習助手研修会
地学班担当者