バイオハザード対策
細菌を扱う実験や組換えDNA実験では病原微生物をはじめ、その産生する毒素や種々のアレルゲンあるいは、過去に存在しなかった生物の出現で、人体などに危害を及ぼすものがある。その扱いを誤れば自分自身が感染の危険にさらされるのみでなく、第三者に感染させたり、実験室以外にそれを広げたりする場合も考えられる。このような危険を総称してバイオハザード(生物災害)と呼ぶ。生物に関する実験の廃棄物の処理については、実験生物だけでなく、廃水の処理、使用後の実験器具の滅菌・消毒、注射針の処分方法などにも気を配り、第三者への配慮も必要である。
- 細菌、血液、ウシの危険部位の取り扱いについて
- 目に見えない危険な細菌、ウイルスを取り扱うことを念頭において、細心の注意を払い万全を期すこと
- 操作技術を修得しておくこと
- クリーンベンチ内での作業を心がけること
- 機械式ピペット(マイクロピペット等)を使用するのが望ましい
- 病原性の強い細菌や感染力の強いウイルスを含む血液などを取り扱う場合には必ず手袋を着用すること
- 培地や培養液は滅菌後に処分すること
- 使用した実験機器・器具類は、滅菌あるいは適切な消毒をすること
- 実験終了時には、消毒剤で手指の消毒を十分に行うこと
- ウシの眼球等危険部位を使用した観察、実験等については、その安全性が確認されるまで実験を実施しない。(ウシのBSE(牛海綿状脳症)発症により、平成13年に厚生労働省より、脳、脊髄、眼、回腸遠位部については、危険部位として処分するように指導がなされている。)
−参考−
滅菌と消毒について
<滅菌>
- 加熱による滅菌 火炎滅菌 蒸気滅菌
- オートクレーブによる滅菌(水、120℃、15分)
ケミクレーブによる滅菌(エタノール、132℃、20分)
乾熱滅菌(160〜180℃、40分)
- ガス滅菌 ホルムアルデヒドなどの殺菌性のガスを用いる方法
- 毒性があるので使用に十分注意する
- その他
- ろ過滅菌、紫外線滅菌、放射線滅菌などがある
<消毒(病原微生物の感染力を奪う方法)>
- 煮沸も消毒の一つの方法であるが、一般には、殺菌作用のある薬剤によって行われる
主な消毒液の用途と使用濃度
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皮膚刺激が強い 腐食作用あり |
芽胞に無効 |
皮膚刺激あり |
芽胞、ウイルスに無効 |
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0.01〜0.05% |
0.02〜0.05% |
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3〜6% |
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特有の臭気あり |
消毒力の低下が早い |
皮膚刺激有り 腐食作用有り |
ウイルスに有効 |
皮膚刺激あり 金属腐食性あり |
ウイルスに有効 |
芽胞、結核菌に効果小 |
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肝炎ウイルスなど一部のウイルスに無効 |
芽胞、糸状菌に無効 |
気化がエタノールより低い |
一部のウイルスに無効 |
芽胞、糸状菌に無効 |
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アクリノール |
化膿部位の洗浄 |
0.05%〜0.2% |
化膿性菌に有効 |
オキシドール |
創面 |
3% |
殺菌力は強いが発泡性あり |
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