廃液(固体含む)処理

理科実験の廃液の処理は環境汚染防止及び生徒の健康保持のために充分にすべきことである。 過去に各学校では希釈・濃縮・分離・焼却・埋蔵などさまざまな方法で処理されてきたが、環境問題が深刻な影を落としている現代社会において自然破壊は人類滅亡の危機だといえる。この観点から学校での廃液処理では必ずしも万全とはいえない。学校で排出される廃液の量は濃度も薄く微々たるものかも知れないが、自然環境破壊につながる方法はできれば避け、我々の未来のためにも共通意識を高めていきたいものである。

1、廃液の分別貯留

中学・高校の実験室廃液は量的には少ないが種類が多いので処理方法も複雑になる。そこで廃液はそれぞれの処理方法に適合するように分別区分して貯留することが大切である。

  1. 分別区分
    1. シアン系・・・シアン、チオシアン酸化合物、及びヘキサシアノ鉄化合物(pH10以上に保つ)
    2. 水銀系・・・水銀(単体)と無機水銀化合物・有機水銀化合物は別々に貯留する。(水銀は蒸気が発生しないように密閉しておく。無機水銀化合物には塩化スズ〔U〕を混入しないこと。)
    3. クロム・マンガン系・・・クロム酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩
    4. 一般重金属系・・・銅、鉛、亜鉛、カドミウム、鉄、ニッケルなど
    5. フッ素系・・・フッ酸、フッ化物、ケイフッ化物など
    6. 酸・アルカリ系・・・硫酸、水酸化ナトリウムなど
    7. フェノール系・・・フェノール、クレゾールなど
    8. 溶媒系・・・次の種類に区分し、蒸気の発散を防ぐよう密栓しておく。
      • 一般有機溶媒・・・アルコール、エステル、ケトン、ベンゼンなど
      • 含窒素系溶媒・・・ピリジン、アミン類
      • 含イオウ系溶媒・・・二硫化炭素
      • 含塩素系溶媒・・・クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等

  2. 貯蔵容器と貯留上の留意点
  廃液は、ポリ容器又はポリバケツに貯留する。廃液からガスや蒸気が発生して内圧が高まらないよう冷暗所に置く。直射日光の当たる場所は避ける。貯留槽の表示は確実にしておく。
 分別貯留については依頼する処理業者によって異なる場合があるので、処理業者と相談の上決定する。