薬品管理上の注意
薬品の管理・整理をするためには、まずどんな薬品があるか自分の目で確かめる。次に分類し
ながら薬品棚の整理と平行して台帳を作成する。
試薬は、その保管状態および性質により製造直後から徐々に、または、急速に劣化するものが多く、その速度は、不純物、日光、温度により促進される。また、容器が不完全な場合にも大気中の酸素や、水分、二酸化炭素により、分解、酸化、重合などの化学変化や、潮解、風解が起こる。これらを経時変化という。経時変化を起こしやすい試薬の購入に際しては、一度に使い切ってしまう量程度とすることに心がけ、使い残しをなるべく出さないことが望ましい。
1、直射日光を避け冷所に保管する
- 作りつけの薬品庫(室)、市販の薬品棚を準備室において利用する場合、ともに部屋の北側に置くようにする。
- 生徒実験用に作った試薬溶液や、各々の実験準備をセットして実験に備えている時も同様である。
- 薬品室も薬品棚も空気の流通するところがよい。薬品室には必ず換気設備を設置する。
2、施錠保管する
- 毒劇物は法令(毒物および劇物取締法)により、盗難・紛失を防ぐのに必要な措置を講じるように規定されている。薬品庫および部屋は二重に鍵をかける。開けたら閉めるを心がけたい。
- 理科薬品は毒劇物でなくても、非常識な使い方をされた場合、問題となるものばかりである。ゆえに、薬品はすべて施錠できる薬品室、薬品棚に入れることが望ましい。その中で特に毒
性が強いもの(シアン化カリウムなど)・危険物(金属ナトリウムなど)は他の薬品と区別し劇薬庫に入れて保管する。「医薬用外」「毒物」「劇物」の文字を表示する。
- 鍵の保管は厳重にすること。生徒に開けさせたりしない。
- もし、危険物や有害物を紛失したときは、事故が起こるおそれがあるので、直ちに管理責任者(学校の場合学校長)まで届ける。
3、保管する薬品数はなるべく少なくする
- 毒劇物、その他の薬品も必要以上に本数を持たない。毎年行う生徒実験の薬品の種類・量はおおよそわかってくるので、それに必要な薬品は基本的なものとしてそろえておく。また、
実験の時期も予定を立てて実験時に薬品が間に合わない、足りないなどのことがないように気をつける。
- クラブ活動や研究のための試薬で基本的なものもおいておきたいが、その他のものは必要に応じて購入し、多種多量の保管は避けたい。
- 購入する薬品は一般に1級のものでよい。少量しか使わないもの、変質しやすいもの以外は500gビンで購入する。25gビンは割高である。ガロンビンは多量に必要とするもの以外は取
り扱いに不便である。
4、薬品の性質を知る
- 自分の学校に保管してある薬品の性質を、試薬カタログや便覧などに目を通して知っておく。細かいことまで暗記しておくことはない。何に使うか、どんな性質があるか、特に注意して
おくことがあれば心に留めておく。
- 危険な化学物質を使用する前に災害の防護手段を考え、消火器及び防護用具を準備する。
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