「理科実習助手のための実験準備マニュアル 改訂版」発行にあたって

  理科実習助手として、実験・実習に携わる私たちは、毎日いろいろな問題にぶつかります。そしてその度、自らの知識や技能不足を痛感し、実習助手としての力量を高めるために研修を重ねてきました。「理科実習助手研修会」は、昭和53年に有志の自主研修として始まり、昭和56年からは「兵庫県高等学校教育研究会理化部会」のもと、兵庫県下すべての高校の助手を対象とする研修会となり、平成9年には県立教育研修所の「講座」の形で開講されるようになりました。講座の中では、毎回実習助手による実務に即した研究発表も行なわれ、仕事上の工夫点を集めた情報誌「NETWORK」も随時発行されています。
  初版の「理科実習助手のための実験準備マニュアル」は、平成2年にこのような研修会の中から生まれました。実習助手の仕事の特性に合わせ、主として実験の準備・片付けでの留意点・工夫点に重点をおき、薬品の整理の仕方・試薬の作り方・器具の洗い方など、多くの助手が実際の仕事の中から得た知識や工夫の集大成として、その後私たちが仕事をする上で大きな助けとなってきました。 しかし、初版を出してから10年が過ぎようとしている頃、改訂版を作ろうという話が起こりました。こ の10年の間には、環境問題が日常的に論議されるようになり、また、生徒たちの理科離れが深刻になる など、私たち自身も大きな意識改革を迫られ始めたからです。具体的には、初版のマニュアルに基づく 廃液処理方法が不適切になり、生徒たちに興味関心を持たせるために新たに考案された数多くの実験へ の対応が必要になってきたことなどが挙げられます。
  改訂版はこのような時代の変化を踏まえ、さらにCD化することで、平成2年以降の研修の成果はもとより、画像を含めたより多くの内容を盛り込んだ、今に対応できる新しいマニュアルを目指し作成されました。初版同様、各学校で使用されている実験ノートなどと併用して日々の仕事に活用していただければ幸いです。
  なお、数研出版梶Aケニス蒲シ社には資料をご提供いただきありがとうございました。また、研修所指導主事、歴代の理化学会実習助手部門担当の先生、編集段階でご意見をいただいた先生方に感謝いたします。編集委員が勤務する各学校の先生方には、ご多忙にもかかわらず、私たちの様々な質問に丁寧に答えていただき、相談にも乗っていただきました。さらに、貴重な資料やアイデアを快くご提供いただいた先生、CD化にあたってのさまざまなアドバイスをくださった先生、多くの皆様のお力添えに心からお礼申し上げます。
平成16年3月  編集委員一同