2.岩石プレパラートの作製

[目的]岩石のプレパラートを作製する。
[準備]岩石片 鉄板 ガラス板 研磨粉(カーボランダム#150・#500 アランダム#1000)
スライドガラス カバーガラス レークサイトセメント カナダバルサム
[操作]
1)岩石片の片面を、研磨粉を使用して1〜0.5o位の厚さにする。より細かい研磨粉を使用して、なめらかな面に仕上げる。
2)研磨した面をレークサイトセメントでスライドガラスに貼りつける。
3)貼りつけた岩石片を、厚さを0.03oまで研磨する。
4)カナダバルサムを使って、カバーガラスを貼りつける。
[留意点・工夫点]
鉄板やガラス板が彎曲していないかチェックしておく。凹んでいる場合は2枚の板をすりあわせて平らにする。
岩石片は、岩石切断機で、25mm×30mm厚さ2mmくらいに切ったものを用意しておく。壊れやすいものは厚めにしておく。
鉄板上での作業は岩石切断機の歯の跡がなくなるのを目安とする。
粗い研磨粉は鉄板を、細かい研磨粉はガラス板を使用する。
鉄板やガラス板を机の上におく時は、ゴム板を下に敷くとよい。
研磨粉は絶対に混ざらないようにし、特に、アランダム(#1000)の使用は、場所を指定しておこなう。
細かい研磨粉に移るときには、岩石片や手をよく洗い、汚れに充分注意する。
研磨粉は500mlのポリビンに入れ、ふたに穴をあけて使うとよい。
研磨粉は流しに流さない。
スライドガラスに岩石片を貼りつける場合には、スライドガラス及び岩石片を水できれいに洗い、よく乾かしてからバルサム焼入台の上にのせてあたためる。
レークサイトセメントは熱しすぎると、接着力がなくなる。
冷却後、岩石片とスライドガラスとの間に、泡が入っていると見えにくいばかりでなく、研磨中にはがれることがあるのでやりなおす。
泡が入る原因には、次のようなものが考えられる。
 間にゴミが入っているとき
 岩石の表面がなめらかでない(凹凸や彎曲がある)とき
 熱しすぎた場合
 押さえ方が弱い場合、又は、強すぎる場合
 かたまる前に手をはなしたとき
3回以上やってもだめな時は、もう一度岩片をはがし、カーボランダム(#500)からやりなおすとよい。
最近はレークサイトセメントのかわりにエポキシ系の接着剤(加熱硬化剤)が使われる。
焼入れ台のかわりにホットプレートを使ってもよい。
スライドガラスに貼りつけた岩石片を研磨する際の厚さの確認は、手でさわって調べたり、偏光装置を利用する。偏光装置を使うときには、石英の干渉色(「岩石、鉱物の見分け方」を参照)に注目する。
乱暴に扱うと接着面がはずれることがある。
全部研磨してしまったり、片べりにならないように、力の加え方に注意する。
カバーガラスをかける際には、薄片をきれいに洗って汚れをとる。
カナダバルサムを1〜2滴カバーガラスにのせ、少し温めてから、泡が入らないように薄片の上にかぶせる。
カバーガラス側から少し温め、カバーガラスの上から指先やピンセットで静かに押さえて、泡や余分のカナダバルサムを押し出す。力をかけすぎてカバーガラスを壊さないように注意する。
カバーガラスからはみだしたカナダバルサムは、熱した金属のヘラで削り取る。
余分についたものは、歯ブラシや布にキシレンをつけてふき取り、石鹸で洗う。
カナダバルサムは、机や衣服につけないようにする。
出来上がったら、2〜3日乾かす。
岩石名、採集地などを記載したラベルを貼る。
カナダバルサム
 カナダバルサムは、キシレンなどに溶けやすく、屈折率が鉱物に近い。粘性の強い場合は、キシレンを入れて放置すると、上部にうすい液ができる。これをバルサムビンに移して使用する。レークサイトセメントは、カナダバルサムを加熱し、固めて棒状にしたもので、きわめて接着力が強く、加熱すると簡単に粘性を失い、接着力がなくなる。