32. 解剖

A.ニワトリの頭
[目的]脳の各部の構造を観察することにより、脊椎動物の脳への理解を深める。
[器具・材料]
 水煮の鶏頭(ドッグフード) ピンセット カミソリ
70%エタノール 酢酸オルセイン溶液
[操作]
1)口の内部と舌のつきかたを観察する。
2)皮や肉をはぎとり、頭骨のつき方を観察し、開いて脳を取り出す。
3)脳を70%エタノールに3分ほど浸した後、髄膜を除き観察する。
4)脳を縦に切断し、断面を観察し、数分間染色する。
 
[留意点・工夫点]
缶詰の鶏頭は、安価で入手しやすく簡単に脳を取り出すことができる。1缶あたり10〜16コ入っている。缶によっては、延髄の切れているものもあるので、注意が必要。
実験前に、開缶しないで缶ごと熱い湯につけて煮こごりを溶かしておくとよい。
水煮でかなりもろくなっているので壊れないよう、生徒に配るまで手で扱う。ピンセットや割り箸の使用は不可。
エタノールに浸すと脱水され、かたくなり、扱いやすくなる。薬さじですくい取るとよい。
染まりやすくするため、染色する前によく水で洗い、表面のエタノールを除いておく。(大脳皮質 が染色される)
頭骨を取り除いた時、視神経も観察する。(左右が交叉している)
鳥類は小脳が発達していることを確認する。(飛行中の平衡を保つ為)
カミソリが両刃の場合、半分に割るか、片側をビニールテープで被っておく。
B.貝類(ハマグリ・アサリ)
[目的]体のつくりを観察することにより軟体動物への理解を深める。
[操作]
1)貝をわずかに開く。
2)外套膜を貝殻からはずし、貝柱を切る。
3)大きく殻を開き、外套膜を切り取り観察する。(貝の前部を左へおく)
4)えらを取り除き、足の基部を切開して内臓の観察をする。
[留意点・工夫点]
眼科用ハサミが使い易い。又眉毛カット用のハサミも安価である。
材料は大きめの2枚貝なら手に入るものでよい。カキでもよい。
40℃の湯につけておくと、わずかに殻を開く。
徐々に水温を上げると、心臓の動きがよくわかる。
 
貝の前後は不等辺三角形の最も短い辺が前部である。
 
先をけずって薄くした割りばし等を差し込んで貝殻を開く。
開けたとき心臓が動いていなくても、海水中に入れてしばらくすると動き出す。
アセチルコリン(神経伝達物質)溶液をたっぷりかけて心拍の変化をみる。
アセチルコリンの抑制効果は、心拍数と心拍の強さに現れる。
えらのひだは顕微鏡で観察できる。
 
C.いか
[目的]いかの体を使って動物の形態(動物の体の区分)を学ぶ。
[操作]
 
雌全景背側

胴を切り開く

雌腹部を開いたところ
 
腎門

心臓と後大動脈

すい臓
 
胃と卵管腺

雌口部

吸盤
 
[留意点・工夫点]
口からスポイドで醤油やメチレンブルー溶液を入れると、食道→胃→盲腸→直腸を通り肛門から出てくるのが観察できる。
新鮮ないかの表皮についている発光バクテリアの観察もできる。
冷凍保存したものを解凍して使ってもよい。
先端に吸盤のない足をもっているのが雄である。
D.シャコ
[目的]シャコの体を使って節足動物の形態を学ぶ。
[留意点・工夫点]
外部形態、開放血管系、消化系、神経系、口器周辺の形態等を観察できる。
心臓から注射器でメチレンブルー溶液を注入し、循環系を観察できる。
実験を中断して日数をおくときは、70%アルコールに浸けておく。
生きたシャコを使用するときは、海水を用意しエアレーションする。
E.その他解剖に適した材料
 カエル‥眼球等の観察、グリセリン筋の材料としても使用できる。
 魚  ‥イワシ アジ等、眼球 神経 内臓等の観察に使用できる。