30.メダカの血流と体色変化

[器具・材料]
A.血流の観察
[目的]毛細血管の血流速度を観察する。
 ガーゼ 顕微鏡 ミクロメーター
メダカ 0.1%ノルエビネフリン 0.1%アセチルコリン たばこ抽出液
[準備および操作]
1)水を含んだガーゼを右写真のように被せる。
2)尾ひれの血流を観察し、無処理の状態・アセチルコリン・ノルエビネフリン・たばこの抽出液を加えた状態での流速を記録する。
[留意点・工夫点]
メダカの代わりにグッピーも使用できる。
目を隠すとおとなしくなる効果がある。尾ひれも広がりやすい。
動いてガーゼを被せにくい時はシャーレに少量の水とメダカを入れ、徐々に水を減らしていき、水が少しだけ残った状態でガーゼを被せるとやりやすい。
血流はヒメダカのアルビノ種を使用すると見やすい。
 
B.体色変化の観察
[目的]体色変化のしくみを調べる。
[器具・材料]
 シャーレ ろ紙
メダカ リンガー液(淡水魚用)
[準備および操作]
1)ビーカーの側面と底面を白い紙で覆ったビーカーと、同じく黒い紙で覆ったビーカーにメダカを入れ、10分後、水で湿らせたろ紙の上で体色を観察する。
2)メダカの鱗をはぎ取り、リンガー液で封入したプレパラートを作り、素早く検鏡する。
[留意点・工夫点]
リンガー液はNaCl 0.75g、KCl 0.02g、CaCl2 0.02g、蒸留水100mlに、NaHCO2を加えてpH=7.4に調整する。
メダカの鱗に付着した真皮には、黒色素胞の他に黄色素胞・橙色素胞・白色素胞があり、白色素胞の観察には、斜めから光を当てるとよい。(黒色素胞は実際には焦茶色に見える)
メダカの体色変化は、色素胞内の色素顆粒の拡散・凝縮によって起こる。
メダカの目から入る光が刺激となり、細胞内にアドレナリンが分泌されるので色素顆粒の凝縮が起こる。(右写真)
黒い紙で囲んだメダカの鱗のプレパラートからリンガー液と、アドレナリン溶液を入れ替えると、色素顆粒の凝縮が見られる。アドレナリン溶液は、アドレナリン1mgをリンガー液50mlに溶かしてつくる。また、アセチルコリン1mgをリンガー液39mlに溶かしたアセチルコリン溶液でも同様の結果が得られる。
<参 考>
  鱗の観察
 鱗を観察すると、年輪のようなものが見えて、成長や生活環境を知ることができる。
[留意点・工夫点]
大きくて、代表的な鱗相を示す身体の中央部の鱗を使用する。
鱗をはがすときには少なくとも一部には真皮も付着しているので、色素胞なども一緒に観察できる。
鱗はピンセットで引き抜くと簡単に取ることができ、取った部分は再生する。