27.グリセリン筋の収縮

[目的]グリセリン筋を用いて、ATPを加えると筋収縮が起こることを確かめ、筋肉運動とエネルギーの関係について理解を深める。
[器具・材料]
 1%ATP溶液(アデノシン三リン酸) 洗浄液 試験液
グリセリン筋
[準備および操作]
1)グリセリン筋を作る。
2)グリセリン筋を洗浄液に入れ、筋肉をほぐしスライドガラス上に取る。
3)試料に試験液を1〜2滴落とし、2〜3分後ろ紙で吸い取って筋繊維の長さを測定する。
4)ATP溶液を少量滴下し、収縮した筋繊維の長さを測定する。
[留意点・工夫点]
グリセリン筋の作り方
 
  • 鶏のささみ(新鮮なもの)を5〜6cmに裂いたものの両端を伸ばして割り箸などに固定する。鶏のささみのほかにカエルの足でもよい。(部位はささみに限らない)
 
  • 50%グリセリン溶液に浸して冷凍庫で3日〜1週間保存する。途中2回程度液を替える。 作成したものはグリセリン液中で数ケ月冷凍保存できる。
洗浄液・試験液の作り方
 A液:pH7のホウ酸緩衝液
B液:塩化マグネシウム22.4g+純水1000ml
C液:塩化カリウム10g+純水100ml
 
 洗浄液   A液1000ml +B液132ml +C液2ml
 試験液   A液100ml +B液8ml +C液1ml
ATP溶液は1週間程しか持たないので少量ずつ作る。実験時はエッペンドルフに入れて配ると少量でとりやすい。1時間の実験には1ml以下の量で充分である。
筋繊維は糸状にほぐし、そのまま測定できる大きさにする。
筋繊維の長さの測定はスライドガラスの下に方眼紙を置くとよい。顕微鏡でミクロメーターを使って測定する方法もある。このときは覗きながらATP溶液を滴下する。
横紋の観察もできる。観察するにはよくほぐした筋繊維束を取り、メチレンブルーをかけ、高倍率で観察する。