17.花粉の発芽と花粉管の観察

[目的] 花粉管の伸長を観察し、内部に生じる精細胞及び花粉管核を確認する。
[材料]春〜夏ムラサキツユクサ アガパンサス ユリ アフリカホウセンカ(インパチェンス)
スイトピー ムラサキゴテン
 リンドウ チャ(茶)
 冬〜春サザンカ ツバキ
 寒天培地
酢酸カーミン液(酢酸オルセイン)
[準備および操作]
1)溶けた寒天培地をガラス棒でスライドガラスの中央に薄く広げる。
2)冷えた培地上に花粉を散布する。
3)花粉管の長さを測定する。
4)染色し、精細胞及び花粉管核を観察する。
[留意点・工夫点]
花粉の量は多すぎないこと、できるだけ重ねないでばらまく。
花粉管の長さを測定するとき、直線状に散布すると測定しやすい。こうして蒔かれた花粉は、直線と垂直の方向に花粉管を伸ばす。
 

花粉をカバーガラス(大型)の上に取る




花粉をカバーガラスで押しつけながら広げる

 

花粉をカバーガラスの縁につける




花粉を培地にまく(カバーガラスを直角に培地にふれる)
 
カバーガラスはかけない方がよいが、水を含ませたろ紙を敷いたシャーレなどに入れ乾燥を防ぐ。 長時間おいておく場合は、冷蔵庫などを利用する。
シャーレに寒天培地を作り、切り取りスライドガラスにのせ、その上に花粉を落とし観察してもよ い。
 
寒天培地を作るときにエタノールを0.5%の割合で加えると発芽がよい。
寒天培地のスクロース液の濃度は花粉によって最適な濃度がある。
   ムラサキゴテン 8%  スイトピー ・ホウセンカ・トウモロコシ 10%
   アブラナ・ユリ 15%  イネ 20%
寒天培地を使わずに、スライドガラスの上にスクロース液(10〜20%)1〜2滴を垂らし、その上に 花粉を落とし、カバーガラスをかける方法もある。この場合、カバーガラスの四隅に支えとしてろ紙の小片を入れ、隙間を作るようにする。
染色前、花粉管内では原形質流動も観察できる。
花粉管核、精細胞を観察するには余分な染色液をろ紙で吸い取り水を一滴落とす。
花粉管はのびはじめの頃は、低倍率ではわかりにくい、必ずカバーガラスをかけて高倍率で観察する。
 
3〜5分後(アフリカホウセンカ)

15〜30分後
 
精核の確認

精核の確認(高倍率)
花粉には花粉管の発芽に適した時期がある。開花直後や時間がたちすぎたものは適さない、目安として指で触って、指につくものがよい。
<参 考> スクロース寒天培地に散布後発芽に要する時間
花期(月)和名発芽時間(分)花期(月)和名発芽時間(分)
ネギ105〜7ムラサキツユクサ
4〜6ハハコグサ106〜9ホウセンカ
5〜6スミレ
エニシダ
ツユクサ10
7〜8モミジアオイ
7〜9アメリカフヨウ
ユキノシタ10サルスベリ
5〜7スイトピーミニトマト10
5〜8マツヨイグサ107〜10シュンギク
ヒャクニチソウ
ユリ420
(7時間)
8〜10フヨウ
5〜11アフリカホウセンカ
(インパチェンス)
ムラサキゴテン
9〜10ヨモギ10
5〜11バーベナ10〜12ツワブキ
サザンカ
10
ブライダルベールツバキ60