12.アルコール発酵

[目的]酵母菌は嫌気呼吸によって糖をアルコールと二酸化炭素に分解する。このしくみを理解する。
[器具・材料]
 キューネ発酵管(または注射器)
酵母菌 糖類 水酸化ナトリウム溶液 ヨウ素ヨウ化カリウム溶液
[準備および操作]
1)ビーカーに糖溶液を取り、酵母菌と混ぜて発酵液を作る。
2)気泡が入らないように容器に入れて栓をし、発生する気体の体積を記録する。
3)発生した二酸化炭素を確認する。
 C6H12O6→2C2H5OH+2CO2
4)生成したアルコールを確認する。(ヨードホルム反応)
 発酵液にヨウ素ヨウ化カリウム溶液を加え、次に水酸化ナトリウム溶液を加える。そして、65℃の湯に入れてよく振る。
<発 展>
A.温度差による実験
 20〜60℃のそれぞれのお湯に容器をつけ、温度差によって気体発生速度を比べる。
B.糖の種類を変える実験
 糖の種類によって気体発生速度を比べる。
C.pHを変える実験
 溶液のpHを一定に保つ溶液(pH緩衡液)pH3〜7の4種類を用意する。pHの違いによって気体発生の有無や速度を比べる。
 
pH緩衡液の作り方
 0.2mol/l Na2HPO4水溶液と0.1mol/l クエン酸を下記の割合で混合する。
 pH3
 pH4
 pH6
 pH7
[留意点・工夫点]
酵母菌はドライ・生どちらでもよい。生は発酵が穏やかである。ドライは冷蔵庫保管が可能である。
気温が高いと溶かしているうちに常温で発酵が始まるので、すぐに実験を開始する。低温では反応が進まない。
キューネ発酵管を暖める場合は盲管部を手で覆うかお湯を使うと良い。(40℃程度)
ヨードホルムの反応は、発酵液の濃度が濃い場合、色の確認が見た目で確認しにくいので、匂いで判断する。
発生する気体が多すぎないように発酵液を調整する。
キューネ発酵管の代わりに注射器を使うと気体発生量をより正確に量ることができる。また、洗浄も簡単である。
発酵管を洗うには、超音波洗浄機や手作り曲管用ブラシを使うとよい。